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【100年の森 明治神宮物語】継承(5)未来へ歩む「木を植える人々」

横浜国立大の通学路緑化のため植えられたシイ、タブなどの苗 (IGES国際生態学センター提供)
横浜国立大の通学路緑化のため植えられたシイ、タブなどの苗 (IGES国際生態学センター提供)
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 その中で、人間の影響をほとんど受けずに残されていたのが、神社とともにあった鎮守の森だった。これらの森は災害に強く、西野さんによると、東日本大震災の津波でも流されずに残った例があったという。宮脇さんが森の再生を「緊急の課題」とした理由の一つがここにある。

 元東京農大学長で福井県立大学長の進士五十八(しんじ・いそや)さん(76)は「緑の問題を社会的に一般化したのは、宮脇さんの業績だ」と評価する。

◆日本の知恵を世界へ

 宮脇さんは明治神宮の森の調査にも参加し、著書では「先人たちが知恵を絞ってつくった人工の森の世界最高傑作のひとつ」「現在の日本で最も理想的な都市公園として機能している鎮守の森の代表格」(「森の力 植物生態学者の理論と実践」)と絶賛している。

 本来の森を最短距離で目指す宮脇方式に対し、明治神宮では献木のクロマツ(針葉樹)などを森の見栄えに生かしつつ、やがて照葉樹が主体となる150年の変移を計画。現実には前倒しで実現した。「潜在自然植生という概念がなかった時代に、将来の森を組み立てた本多静六先生たちはすごい」と西野さん。また、ともに植樹などの活動に取り組む瀬田玉川神社(東京都世田谷区)の高橋知明禰宜(ねぎ)(45)は「日本の森造りは、SDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)の視点からも、日本から世界に発信できる知恵では」と話す。

 宮脇方式にも改良の余地があり、西野さんはさらに「自分の下の世代を育てなければ」という。木を植える人々は先人の思いを受け継ぎつつ、未来へ歩む。(「継承」おわり)=毎週金曜掲載

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