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辺野古のミステリー ジュゴン“鳴き声”のみ…姿見えず

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事をめぐり、ジュゴンの存否が関係者らをやきもきさせている。工事現場近くの海域で今年2月以降、鳴き声のような音がしばしば確認されたものの、姿が見えないからだ。“鳴き声”は主に東寄りの風が吹いているときだけ聞こえるといい、現場周辺からは「ミステリーだ」との声も。果たしてジュゴンはいるのか、いないのか-。

1年ぶりに痕跡

 防衛省によると、鳴き声のような音は辺野古沖の海中に設置した録音装置に記録されていた。2~6月に計198回確認され、専門家に問い合わせたところ、周波数などから「ジュゴンの可能性が高い」という分析結果だった。

 辺野古沖を含む沖縄本島北部の海域ではもともと3頭のジュゴンが生息しており、基地反対派が移設工事の中止を求める理由の一つに挙げていた。しかし昨年3月、エイのとげが刺さった1頭の死骸が見つかったのを最後に、姿を見せなくなっていた。

 今回、昨年3月に最後の鳴き声が確認されて以来、ほぼ1年ぶりに痕跡が確認されたことで、反対派は工事中止の声を強める。玉城デニー知事も4月、工事を中止して環境影響評価を行うよう防衛省に申し入れていた。

 だが、確認されたのは“鳴き声”だけだ。ジュゴンは息継ぎのため十数分ごとに浮上するが、上空からヘリで探しても姿を発見できなかった。ダイバーによる海底調査でも、ジュゴンの餌となる海草を食べた形跡(はみ跡)などは見つかっていない。

 「以前は上空からの姿も海底の『はみ跡』もしばしば確認できた。“鳴き声”だけなのは不思議だ」と、防衛省関係者は話す。

東寄りの風

 ほかにも不思議なことがある。録音装置は周辺の海域に20カ所設置されているが“鳴き声”が記録されるのは2カ所のみ。一部の例外を除き、東寄りの風が吹くときだけ聞こえるという。このため、フロート(浮具)など人工物が発する異音の可能性も出てきた。防衛省によれば録音場所の近くにワイヤで結ばれた複数のフロートが浮いており、風でこすれる音が原因とも考えられる。

 一方、“鳴き声”は工事が休みの日に集中して聞こえるため、ジュゴンが工事を避けているとの見方も。現場の状況から何者かが鳴き声の録音テープを流しているとは考えにくく、謎が謎を呼ぶ状況だ。

 反対派の「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の事務局では「可能性があると専門家が指摘している以上、工事を止めてきちんと調査し、解明すべきだ」と求める。防衛省は「ジュゴンの生息域であることを前提に慎重に工事を進めており、その立場はいまも変わらない。工事と並行し、引き続きジュゴンの調査に努めたい」としている。

ジュゴン インド洋や西太平洋などの熱帯または亜熱帯の浅海に生息する海生哺乳類。全長2・5~3メートル、体重300~450キロで、アマモなどの海草や海藻を主食とする。沖縄県の周辺海域が生息の北限とされ、環境省が絶滅危惧種(レッドリスト)に指定している。沖縄県名護市辺野古沖の大浦湾や古宇利島周辺にも出現し、防衛省が平成19年4月からヘリなどを使った調査や観測を実施、29年4月からは水中録音調査も行っている。

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