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【本ナビ+1】シンガー・ソングライター丸山圭子 旅に出たくなった!

シンガー・ソングライターの丸山圭子氏(萩原悠久人撮影)
シンガー・ソングライターの丸山圭子氏(萩原悠久人撮影)
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□『瑠璃ノムコウ』河畑孝夫著(文芸社文庫・660円+税)

 美術大学で出会い、親友となったルリと「わたし」。天真爛漫(らんまん)でいつもキラキラしていて周りを元気にするルリは卒業後、ガラス工芸作家を目指し、「わたし」は地域情報誌の記者兼カメラマンとなったが、いつもどこかでルリと自分を比べていた。そのルリがある日、姿を消した-。

 ルリの姉とルリの行方を探すうちに、わかり合えていると思っていた親友の意外な一面が次々と見えてくる。「わたし」の元恋人とルリの関係に疑いも抱き、ルリへの不信感、取り残されたような孤独感にさいなまれる。やがて、ルリが抱えていた秘密、心の闇の深さを知ろうとするなかで自分自身の傷、心の闇に気づいた「わたし」は原点に立ち返るための旅に出る。

 親友の失踪をきっかけにした成長物語。人は人として乗り越えなければならない壁を越えてこそ、大きく成長できるが、まずは自分自身が人を受け入れる心の準備をすることが大切だとわかる。

 ともになぜか「未完成のもの」に惹(ひ)かれていたルリと「わたし」。未完の象徴として宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が随所に登場し、「わたし」たちを導いていく。もうひとつ、世の中を見るフィルターとして光にかざすと物が歪(ゆが)んで見える「瑠璃」のガラス細工もモチーフとして描かれる。

 脚本家でもある著者。ルリの失踪の謎を追う展開にも引き込まれる一方、舞台となる古都・金沢の描写もドラマの一場面のように目に浮かぶ。

 「外観が石塀で大正ロマンふうの木造家屋のビストロ」「石畳が綺麗(きれい)に敷き詰められたひがし茶屋街」、金沢城、兼六園、犀川の情景…。金沢出身の作家、室生犀星の詩「切なき思ひぞ知る」まで。さすが泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞作。古都の風情に惹かれ、旅に出たくなった。

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