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【朝晴れエッセー】9月月間賞 遥かな東京 竹田健次さん

■玉岡さん ノスタルジー感じる/門井さん 非の打ちどころなし

 山田 4月月間賞選考会から、リモートで実施していましたが、ようやくお会いできましたね。玉岡先生と門井先生がイチオシの「遥かな東京」から、参りましょう。

 門井 自然災害に、マドンナの存在があり、マドンナの扱いが非常にうまいです。冒頭がすばらしく、自然災害の描写もことごとく的確です。文章、構成に非の打ちどころがない。

 「東京が他国ほどに遠く思えた、あのころ」という落ちの切れ味がいいです。最後の一文により、自然災害を受けていないという点や、オリンピック直前、マドンナがいるという点で、東京というものが非常に複雑な意味を帯びています。

 玉岡 自然災害をテーマにした作品が本作と「台風」です。新聞のエッセーは、ある日、ある時の時事をすくい取るのが大きな役目ですよね。伊勢湾台風や第二室戸台風を取り上げ、災害に思いをはせることも大事と感じます。

 「遥かな東京」は、オリンピック開催前の東京ですから、ノスタルジーを感じさせる意味でも大変いい素材を書かれたと思いました。変わりゆく東京の風景よりもマドンナに力点が置かれたところが思春期の男の子の感情をビビッドに書いていますね。

 門井 「台風」は説明に無駄がありません。「遥かな東京」より自然災害寄りです。対角線にかんぬきをするという表現はさりげないですがいいですね。実家は空き家になっているという落ちもよかったです。

 山田 「さよならの夏」はいかがでしょうか。

 門井 自分が昔みたはずのドラマの主題歌が、今のアニメの主題歌になっていたという出来事がなだらかに結びついている点で、この文章はいいなあと思います。新しいものと古いものの対比がとてもスムーズです。

 山田 「あれ何だっけ?」と、この作品のような事態になると、昔は解決が難しかったですもんね。今はスマホやパソコンで調べたら分かるようになりました。

 玉岡 音楽はダイレクトに記憶に刻み込まれるものなのでしょう。音楽をきっかけに子供部屋やブラウン管の大きなテレビ、お母さんといった映像がよみがえってくるのはいいですね。

 山田 「ビニール傘」はどうでしょうか。

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