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失明患者の再生医療へ一歩 iPS細胞の移植成功で

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った「視細胞」の世界初の移植が、神戸の病院で16日に実施されたことで、再生医療による失明の治療は大きな一歩を踏み出した。目の難病患者への移植はこれまでも行われてきたが、今回は視覚の核心部分の再生に挑む点で大きな意義がある。

 iPS細胞を使った目の再生医療の臨床研究では、網膜に栄養を与える「網膜色素上皮細胞」や、レンズの役割を果たす角膜の細胞の移植が行われてきたが、いずれも視覚そのものを生み出す細胞ではなかった。

 これに対して視細胞は、光の刺激を電気信号に変換し、見えた物の色や形の情報を作り出す働きがあり、視覚の源といえる。その情報は視神経を通じて脳に伝えられる。視細胞が機能しなければ、物を見るという行為は成立しない。

 中枢神経に直結する視細胞は再生能力が低く、いったん傷付くと自然に回復することはほとんどないとされる。視細胞が失われる網膜色素変性症に根本的な治療法がないのは、このためだ。

 日本眼科医会によると、国内の失明者は推定で約18万7千人。iPS細胞による再生医療が実現すれば、視細胞の障害が原因で失明した人は光を取り戻せるかもしれない。

 ただ、今回の移植は安全性と有効性の基礎的な確認が目的だ。移植した視細胞も網膜全体の面積のわずか数%で、すぐに視力が大幅に改善するわけではない。治療を待つ患者の期待は膨らむが、実用化には安全性や有効性を慎重に検討する必要がある。誰もが治療を受けられるようになるには時間がかかりそうだ。(伊藤壽一郎)

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