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【朝晴れエッセー】百日草・10月15日

 百日草を耳にしたことがあるが、花より団子の私は花のイメージがわかない。

 なぜ百日草を初めて植えることになったかというと、ある本で、戦争体験者が満州から引き揚げる際、百日草が太陽の日差しを浴び、踏まれてもたくましく咲き誇っているという件があったからだ。

 どんなたくましい花か興味を持ち、早速苗ポットを買おうと出かけた。

 すると、今にも枯れそうで色つやなく、セール品のラベルが貼られている苗が私の目に留まった。

 なんだか私に買ってほしそうな表情に見えてくる。

 早速、そのふびんな苗を手にし、たっぷり水をやり庭に植えた。酷暑で苗も熱中症のようで生気なく、たくましさには無縁である。気が付けば「もう無理しなくていいよ」と話しかけていた。

 私にはいつの間にか赤ちゃんを育てているような母性本能が芽生えていたのだった。

 シーンとうなだれている姿が、翌朝に突然鮮やかな赤花をドバッと開花させていた。花弁を精いっぱい支える曲がっている茎は、グラグラと揺れながら、そして、か細かった。

 この予期せぬ訪問者に、「ありがとうね」とささやいていた。川嶋富紀子 68 滋賀県湖南市

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