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【ビブリオエッセー】反省禁止、悩むのは才能だ 「苦しい時は電話して」坂口恭平(講談社現代新書)

 自分の携帯電話の番号を表紙で世間にさらすなんて、著者はどんな人だろう、とびっくりして、普段は読まない新書を読むことにした。

 坂口さんは建築家、作家、絵描き、歌い手で、「ときどき新政府内閣総理大臣」を自称する。「自殺者をゼロにしたい」と切実に思っていて、独自にいのちの電話、ではなく、「いのっちの電話」というサービスを始め、電話番号を公開したそうだ。いのちの電話も誰でもかけていい電話だが、なかなかつながりにくいことでも少し有名だったりする。そんな現状を少しでも克服できればというわけだ。なぜなら坂口さん自身が躁うつ病の診断を受けていて、「周期的に死にたくなってしまう」人だから。「あなただけではない」と呼びかけている。

 本書では死にたいときの思考回路、電話で話したやりとり、そこから見えた、悩み続ける人の共通点、その対処方法などが書かれている。「悩むのは、才能の一つ」なのだと。

 実は私も学生のころ、ウツになった。当時はカウンセラーや家族にもうまく伝えられなかった思いがこの本でしっかり文章になっていた。「破壊的な反省」「何もしたくないのに、何かしたい」という矛盾を抱えた私のことが載っていて、不思議な感じだった。

 坂口さんはある提案をする。「一番やりたいと思っていること」を毎日1時間だけでもやり続けること。そして、「反省禁止と唱えて」みる。死にたいという思いは、「体からの『休みましょう』というメッセージ」だという。

 だから私もいつか「死にたい」がやってきたときの備えとして、一時間を習慣づけることにした。このビブリオエッセーもそのひとつだ。本が好きで考えるのが好きな私はやりたいことをやって、自分の思いと付き合いたい。

 堺市堺区 西藤はやて 26

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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