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囲碁界の半沢直樹? 負けたら、やり返す 井山裕太三冠の流儀

3冠対決第1ラウンド、第45期名人戦七番勝負の第1局を勝利した井山裕太棋聖(右)と敗れた芝野虎丸名人
3冠対決第1ラウンド、第45期名人戦七番勝負の第1局を勝利した井山裕太棋聖(右)と敗れた芝野虎丸名人
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 3冠同士の対決で注目される囲碁の第45期名人戦七番勝負は、井山裕太棋聖(31)=本因坊・天元=が第3局まで芝野虎丸名人(20)=十段・王座=に2勝1敗とし、3期ぶり復位へ好調な滑り出しをみせている。昨秋の王座戦では芝野に敗れ4冠から後退した井山だが、今年6~7月に行われた本因坊戦では“返り討ち”にした。初めて七大タイトルを獲得してから10年余り。“やられたらやり返す”-人気ドラマ『半沢直樹』の主人公ばりの勝負魂が、井山をトップに立たせ続けている。

若武者を撃破

 8月25、26日に行われた名人戦第1局に勝利した井山は、「(相手の手は)厳しかった」と芝野の力を認めつつ「(七番勝負は)まだ始まったばかり。少しでもいい状態で第2局に臨めれば」と話していたが、その第2局(9月15、16日)でも堂々たる打ち回しで若武者に勝利した。第1局時、「あらためて(戦うには)大変な相手であると感じた」と話していた芝野は連敗で、初防衛に苦しい展開へ追い込まれた。

 今回の名人戦が七大タイトル戦57回目の登場となる井山は、これまで13人と対局し45回優勝(奪取または防衛)している。敗れた11回に着目すると、大半で負けた相手にその後、勝利しているのだ。

 井山が初めて七大タイトルに挑んだのは、平成20年の名人戦。このときは張栩(ちょう・う)九段(40)の前に敗れたが翌21年の名人戦で、張に勝利。20歳4カ月の史上最年少で七大タイトルを獲得した。

 張とともに“平成四天王”の1人に数えられる実力者、山下敬吾九段(42)には23年の名人戦で敗れたが以降、七大棋戦では11勝無敗と圧倒している。

 30年の碁聖戦では、許家元(きょ・かげん)八段(22)に初めてストレート負け(0勝3敗)を食らったが昨年、天元戦で勝利し奪取している。

豊富な研究量

 以前、井山は「プロとして、同じ相手に続けて負けるのは、あまり気持ちのいいものではない」と話したことがある。やられたら、やり返す-。プロとしてはごく当たり前の矜持といえるが、トップ級が激突するタイトル戦でそれを実戦できるのは、たいしたもの。ドラマ『半沢直樹』の世界を地でいくのだ。

 それを下支えするのが、井山の研究の豊富さだ。同じ相手と2~3カ月間に集中して対局する七大タイトル戦の場合、相手の棋譜パターンを徹底的に調べ、どう打ってくるか予想して臨むという。敵対する相手の弱点を徹底的に調べる「半沢直樹」に、どことなく似ているか。

 一方の芝野は表向き「相手の棋譜はあまり研究せず、出たとこ勝負でいくことが多い」と話す。たとえば相手のパターンから、打ちそうな候補を3つ選んだとしても、4つめの手がくることもある。改めて考える必要が出てくる。運よく3つの候補のうち1つがきても、1手進めば、また複数の候補が表れる…。それより着手されてから本格的に考えるほうがいいというのも、一つの考えだ。

 幼少期からの研究仲間で同世代の村川大介九段(29)には、26年の王座戦で敗れるも以後3連勝。31年の十段戦で敗れたのは、村川が井山を上回る研究をしたからのようだ。

 昨秋、芝野は19歳11カ月で名人を奪い、井山が持つ七大タイトル獲得の最年少記録を10年ぶりに塗り替えた。囲碁界では快挙への称賛とともに、10年たっても井山が複数のタイトルを保持していることに、あらためて感嘆する声があがった。

 “新・旧最年少名人対決”である今シリーズは、七大タイトル戦で1度ずつ勝っている同士の3度目の激突でもある。倍返しするのは井山か、芝野か…。今後の対局が注目される。   (文化部 伊藤洋一)

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