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【話の肖像画】作家・湊かなえ(47)(11)読者から刺激、気持ち新た

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シャルジャ国際ブックフェアで訪れたアラブ首長国連邦(UAE)の砂漠で
シャルジャ国際ブックフェアで訪れたアラブ首長国連邦(UAE)の砂漠で

 《デビュー直後に10社以上の出版社から執筆依頼を受け、毎年複数の新作を刊行する過密なスケジュールをこなしてきた》

 一巡したあたりから、書くことがしんどくなってきたのです。『母性』(平成24年)と、『望郷』(25年)を出して、書きたいものは書いたし、ドラマ「高校入試」(24年)の脚本にも挑戦して、東京に住んでいなくても連ドラの脚本が書けたと満足しました。

 20冊目に『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(28年)を出して、きりもいいし、もういいんじゃないの。もう続けていくのは無理。心が折れかけて、このあたりで休みたいなと思ったのです。でも、執筆の依頼は途切れることなく続いていました。

 『ポイズン-』は直木賞の候補になり、結局は取れなかったのですが、何か楽しいことをしたら続けられるかなと思って、デビュー10周年を記念して、出版社10社の協力で「47都道府県サイン会ツアー」を企画しました。デビューの年は、短編『聖職者』が小説推理新人賞を受賞した19年なのか、『告白』を刊行した20年なのか、あいまいですが、10周年が2年あるととらえて47都道府県を回ろうと考えました。

 《29年1月に始まったサイン会は、令和元年秋まで3年近く続いた》

 各会場100人限定で、1人ずつ、読者の方とお話をしました。年齢もさまざまで、年配の方からは、介護をテーマに書かれたりしないんですか?と提案されましたし、青森市でのサイン会には、車で3時間もかけて来られた方がいました。

 たくさんの方が本を読んでくれて、書店員の方が熱心に本を売ってくださっている。みなさんに支えられていることが実感できたサイン会は、仕事のモチベーションにもなりました。

 ニュースを見ても、各地でお会いした方の顔が浮かぶんです。九州の豪雨災害のニュースを聞くと、あの辺りは大丈夫かなと心配になります。日本各地が、自分の知っている場所となり、土地や人に思いをはせることができるようになりました。

 《海外の読者ともつながることができた》

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