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コロナ禍でパズル誌好調 アナログの意外な強みも 

在宅時間が増えたコロナ禍で、堅調に売れているパズル誌。クロスワード、漢字…種類は多彩だ
在宅時間が増えたコロナ禍で、堅調に売れているパズル誌。クロスワード、漢字…種類は多彩だ
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 紙の雑誌の販売額が落ち込む中、クロスワードや間違い探しなどの問題を掲載したパズル雑誌が気を吐いている。在宅時間が増えたコロナ禍の巣ごもり需要で売り上げを伸ばした雑誌も目立つ。時間を忘れて難問と向き合い、解答は手書きで直接ページに記す…。そんなアナログなスタイルが持つ意外な強みも好調を支えているようだ。 (文化部 海老沢類)

売り上げ2割増

 パズル誌発行部数日本一!-。

 そんなうたい文句が表紙に踊る月刊パズル誌「クロスワードメイト」(マガジン・マガジン)は、今年4~6月期の発行部数が7万9000部を超えた(日本雑誌協会調べ)。直前の1~3月期の実績は、約6万9000部。緊急事態宣言が発令され、多くの書店が休業したコロナ下で、部数を約1万部も伸ばした。

 「緊急事態宣言下でも営業していたスーパーやコンビニで買い物ついでに購入する人が増えた。それまでの中心読者だった60~70代に加え、より若い読者層を掘り起こしている」(出版関係者)との声もあり、ほかのパズル誌もよく売れている。

 晋遊舎は書店で雑誌が入手しづらくなることを見据え、5月発売以降のパズル誌8誌で定期購読の開始を告知。反響は大きく、「1カ月で100件を超える購読申し込みがあった雑誌もある」(販売担当者)という。

 緊急事態宣言下の4月26日に発売された学研プラスの隔月刊パズル誌「ロジックパラダイス」(6・7月号)はほぼ完売した。書店の休業による販売減を見込んで刷り部数を通常より約1割少なめに抑えたが、売上額は前年の実績を約2割も上回ったという。

 学研プラス趣味・カルチャー事業室パズルチームの近藤一彦さんは「今回のコロナ禍は一つの災害。目の前の厳しい現実を忘れて問題に没頭できるパズル誌が多くの人に求められたのでは」と話す。

銘柄数は過去最高

 パズル誌は“紙の本離れ”が進む出版不況下でも売れ続けてきた珍しいジャンルといえる。

 日本で初となるパズル専門投稿誌「パズル通信ニコリ」が創刊されたのは昭和55年。欄外のヒントをもとに縦と横のマス目を埋めていく「クロスワード」の隆盛に続いて、同じ番号のマス目に同じ文字を入れる「ナンバークロス(ナンクロ)」も人気に。平成4年ごろの漢字検定ブーム後には、字体や読みを活用したさまざまな「漢字パズル」が台頭。世界的な数独(SUDOKU)人気を背景に数理パズルの「ナンバープレース(ナンプレ)」の関連本も増えた。この間、「脳トレブーム」を追い風に、「間違い探し」や、マス目を塗りつぶしたり点を線でつないだりして絵柄を完成させる“お絵かき物”も1つのジャンルに成長し、多様化が進んでいる。

 出版科学研究所によると、紙の雑誌の年間推定販売金額は昨年まで22年連続で前年を下回った。人口減やスマートフォンの普及で情報への接し方が変化したことが主な要因とされ、昨年は5637億円とピーク時の3分の1近くにまで落ち込んだ。

 ただパズル誌の推定販売金額は昨年、前年比4・6%増の約113億円とプラス成長を記録。発行部数も前年を0・9%上回る約3442万冊だった。どちらもピーク時(平成18年)の実績には及ばないものの、比較的低コストで作成できることもあって、新規参入の動きは活発だ。毎年創刊される雑誌の約2割をパズル誌が占めており、発行銘柄数は昨年、過去最高の158点に達した。

「脳活」で注目

 「高齢者を中心に脳を鍛える『脳活』が注目されていることもあって、頭を使って問題を解き、実際に手を動かして解答を書き込んでくパズル誌の人気は安定している」と話すのは出版科学研究所の水野敦史研究員。手書きに親しんだ60~70代の高齢層に合致したアナログなつくりをパズル誌の強みとして挙げる。ほかの情報誌などとは違い、解答を直接誌面に書き込むため、新古書店などに流通しないのも市場を守るのに一役買っているという。

 水野研究員は「遠出をしづらい状況が続き、パズル誌は7~8月に入っても売れ行きは好調。今後は市場の先細りを防ぐために、どう若い読者を獲得していくかが課題となる」と話している。

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