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【ビブリオエッセー】赤ちゃん抱っこで事件の現場 「育休刑事(デカ)」似鳥鶏(幻冬舎)

 若いパパが赤ちゃんを抱っこしている表紙が目を引いた。小さな手や足がかわいい。またいつ休館になるかも、と図書館から読み応えのありそうな15冊を借り出し、最初に読み始めたのが『育休刑事』だった。

 本格ミステリと銘打つ警察小説。設定がユニークだ。パパは秋月春風巡査部長。県警捜査一課の刑事で育休中だ。赤ちゃんは生後まだ数カ月の蓮くん。ママはなんと捜査一課長の秋月沙樹警視というキャリア組で春風の上司にあたる。さらに春風の姉は大学医学部・法医学教室の吉野涼子准教授。沙樹とは高校時代の同級生で親友だ。上司である妻に代わって第一線の男性刑事が育休をとったら…。面白そうな予感は的中した。

 春風は蓮くんの育児に奮闘中で、お出かけの荷物の多さに閉口し、でも抱っこし続け、ミルクを飲ませ、おむつを替え、とめまぐるしい。夜中に泣きやまず、静かにさせれば虐待を疑われるかもと心配しつつ、男の子育ては不器用だがほほえましい。次第に抱っこ筋がつきパパぶりも板についてくるのだが、「えええええ…」と泣き声がやたら出てくる小説でもある。

 育休中にもかかわらず出かけた先々で事件が起きる。語られる事件は3つ。質屋の強盗殺人事件の現場では春風と姉、そして蓮くんが人質になってしまう(「人質は寝返りをする」)。そこでもウンチやミルクの赤ちゃん時間は事件とは関係なくやってくる。どうする春風!

 欄外には子育てなどの親切な解説もある。著者いわく、男性育児の疑似体験小説であり、育児中のパパの応援歌であり、これからのパパやママの参考に。マスクづくりのかたわら、読書三昧の日々に見つけた楽しい1冊だった。

 大阪市都島区 H・N 74

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