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【話の肖像画】作家・湊かなえ(47)(6)トンガ王国から淡路島へ

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 《青年海外協力隊の隊員として赴任したトンガ王国では、実りの多い2年間を過ごした》

 宗教や死生観、風習の違う人たちと過ごしたいい経験でした。知らない人のお葬式にも行きました。赴任した学校の前校長だったのですが、ご親族の方が囲んでじーっと眺める中、初対面のおばあさんのご遺体にキスをする体験をしました。

 週末は、ホストファミリーの家に泊まって、教会に行ったりしていましたが、普段は学校の敷地内にある教員用のハウスで暮らしていました。現地には隊員がたくさんいて、ドミトリーに集まって、みんなでご飯を食べることもありました。

 談話室の本棚には、隊員が日本から持ってきて、帰国するときに置いていった本がたくさんありました。誰かのマイベスト本なんですよ。今まで読んだことのなかった司馬遼太郎さんの『峠』、三浦綾子さんの『氷点』などを借りて読みました。

 また、本を注文できる制度を利用し、遅れて届く日本の新聞の書評欄や広告を見て、『リング』や『らせん』『失楽園』などのベストセラーを取り寄せました。トンガにいるときが一番本を読んだと思います。

 当時は、メールがまだ一般的でなかった時代でしたので、手紙をよく書きました。日本にいたら手紙なんか書いてないな、と思えるサークルの同級生の男の子にも出していました。山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻について書いてきてくれました。

 あと、日本で一緒に訓練を受けて、フィジーやソロモン諸島、ホンジュラスなどの国に赴任した隊員とも手紙のやりとりをしていました。テレビがなくて夜も長いので、手紙は毎晩、だれかしらに書いていました。

 《充実したトンガでの隊員生活が終わり帰国する》

 隊員としてトンガに赴任する前、教員としての実務経験がないので、母校の武庫川女子大学の教授に、現地の学校で使う教材などのアドバイスをいただいたんです。そして帰国の報告にうかがったら、「これからどうするの?せっかく向こうで教員の経験をしたのだから、日本でもその経験を生かしてみたら?」と、兵庫県内の高校の家庭科の講師を紹介してくださることになりました。そして、淡路島での仕事が決まったのです。それまで、淡路島は四国だと思っていたのですが、間違いに気づきました。

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