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【コロナ その時、】(13)東京アラート発動 感染再拡大の不安 2020年6月1日~

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 新型コロナウイルスの感染拡大で長く休校を続けていた首都圏などの多くの学校が6月1日、授業を再開した。緊急事態宣言が全面解除されて1週間。恐る恐るではあるが、社会は日常に戻りつつあった。

 午前と午後に分けての分散登校、対面を避けての学習…。感染防止のため、各校では「新しい生活様式」を意識した対策が取られた。一方、「9月入学」の機運はしぼみ、安倍晋三首相は2日、来年の導入を見送る意向を表明した。

6月1日 東京都が「ステップ2」に移行

 東京都では1日、休業要請緩和の第2段階「ステップ2」に移行。劇場や映画館がやはり感染防止に努めたうえで営業を再び始め、渋谷では待ちわびたファンが開館前から詰めかけた。

 ところが、翌2日に事態は急変する。都は新規感染者が34人と発表。30人以上に上るのは5月14日以来19日ぶりで、感染再拡大への警戒を呼びかける「東京アラート」が発動された。

 夜の繁華街での感染者が増えていた。小池百合子知事は2日、「夜の繁華街など3密(密閉・密集・密接)のリスクの高い場所は十分注意していただきたい」と述べた。晴れ間が見えた直後、首都に新たな暗雲が立ち込めていた。

「夜の街」での感染が拡大

 「アラートまで出ちゃって、はしごを外された気分」。6月2日夜、友人と酒を飲みに東京・歌舞伎町に繰り出した男性会社員は、東京都が感染拡大の兆候があるとして警戒を呼び掛ける「東京アラート」の発動を聞かされ、ばつの悪そうな顔を浮かべた。

 緊急事態宣言が解かれ、街には徐々にだが、にぎわいが戻りつつあった。経済再開を模索する中で出されたアラートに、困惑を覚えた人は少なくなかった。

 だが、都が発動に踏み切った要因には、新規感染者が再び増加傾向にあることに加え、接待を伴う飲食店でいまだに感染が相次ぐ実態があった。都は当時、ガールズバーやホストクラブなどに対する休業要請を緩和していなかったが、営業を続ける店舗が散見された。5月29日~6月4日の1週間の感染者128人中、3割はホストクラブなどの従業員や客だった。

 都は5日から、職員らが夜の繁華街を巡回して注意喚起をする“夜回り”活動を始めた。小池百合子知事は「利用する側に気をつけてもらうことが一番効果的だと思う」と語ったが、翌6日の感染者26人のうち12人は、新宿エリアにある同じホストクラブの20~30代の男性従業員だった。

 感染経路を追いにくい「夜の街」での今後の休業要請緩和に向けて不安が強まる中、小池知事と西村康稔経済再生担当相は7日に協議。ホストクラブなどの従業員が定期的にPCR検査を受けられる態勢整備や相談窓口の設置などで連携する方針を確認した。

6月2日 フランスで飲食店の営業が再開

 世界に目を転じると、感染爆発を乗り切った欧州で日常が戻り始めていた。フランスでは2日、飲食店の営業が約2カ月半ぶりに再開され、パリの名物であるカフェに人出が戻った。オーストリアの首都ウィーンでも5日夜、「クラシックの殿堂」と称されるウィーン楽友協会でコンサートが約3カ月ぶりに行われた。

 一方、南米のブラジルでは事態が深刻化していた。世界保健機関(WHO)によると、2日に感染者は50万人を突破し、死者も4日に3万人を超えた。1日あたりの死者が1000人超を数える日もあったが、ボルソナロ大統領は「死はすべての人の運命だ」とうそぶき、マスクもせずに支持者を集めた集会に出席していた。トップの危機感の薄さは、ブラジルにさらなる危機をもたらそうとしていた。

原則在宅勤務やオンライン面接

 感染再拡大への懸念は、企業の働き方や採用方法の変化としても表れた。

 大手企業の中には、在宅勤務体制を制度化する試みも登場した。大手商社の丸紅は感染防止のための「原則出社禁止」の方針を「原則在宅勤務」に切り替えた。キリンホールディングスは出社人数の上限を3割に設定。通勤時やオフィスでの「密」を避けるための制度づくりが本格化した。

 来春卒業予定の大学生らに対する採用面接などの選考活動が1日から主要企業で解禁されたが、多くの企業が対面ではなくインターネットを使ったオンライン面接に切り替えた。「回線が途切れることや緊張する学生への配慮」を理由に、面接時間を前年よりも長くする企業もあった。

 首都を新たな“震源地”として感染者が再びじわじわと増え始めるなか、感染拡大の防止と経済活動の両立がいかに困難かを思い知らされることになる。

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