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「満足の入れ歯」に生きがい 歯科技工士の藤井京子さん

 「初めは漠然と『歯を作る仕事』ぐらいにしか認識していなかった。でも、歯の状態が良くなければ身体全体に影響が出てくることもある。そんな知識を得るにつけ、この仕事にやりがいを感じるようになった」

 藤井京子さん(32)は、歯科技工関連会社「T・U・M」(大阪府茨木市)で働く歯科技工士。歯科医師の指示に基づいて入れ歯や詰め物などを作る専門職だ。

入れ歯の調整をする藤井京子さん=茨木市(薩摩嘉克撮影)
入れ歯の調整をする藤井京子さん=茨木市(薩摩嘉克撮影)

 歯科技工士を目指したのは27歳のとき。歯科技工士で同社の社長でもある父親の成行さん(58)に「即戦力になってほしい」と頼まれたからだった。「ちょうど、新しいことに挑戦しようと考えていたとき。社会に貢献する仕事でもあると勧められ、興味を持ちました」と振り返る。

 それまで東京で声優をしていた。喉を痛めて続けられなくなり転職を決心。大阪に戻り、平成28年4月、父親も通った「新大阪歯科技工士専門学校」(大阪市淀川区)に入学した。

 2年制の昼間部と3年制の夜間部があったが、「昼間に臨床の現場で研修すれば吸収も早いのでは」と迷わず夜間部を選んだ。昼間は同社で学びながら働き、夕方から学校へ。夜間部とあって年上や社会人経験のある生徒も多く、知らないことを教え合う間柄になった。休憩時間はとてもにぎやかで、交友関係がぐっと広がった。

 授業では歯科の基礎知識はもちろん、石(せっ)膏(こう)棒を歯の形に削ったり詰め物を作ったりと、さまざまな技術を学んだ。「だんだん難易度が上がっていく感じ。難しい手作業も、やっていくうちに慣れて、結構楽しかった」

 卒業後、念願の歯科技工士の資格を取得。社内で担当するのは入れ歯作りだ。患者の口の中を再現した石膏模型をもとに、適正な形をワックスで形成する作業をメインにしている。

 見た目がきれいで食事にも支障がない入れ歯に仕上げることが重要で、そのため最終的には、患者に装着してもらって調整する必要がある。職場では最終調整の場面を見る機会がなかなかなかったが、あるとき、「入れ歯が合わず、ものを食べるのが煩わしい」という祖母の入れ歯を作ることになった。

 すべての工程をひとりでこなしたわけではないが、その入れ歯は完成。仕上げた入れ歯を装着したとたん「あ、かめる」と祖母の表情が変わったのが分かった。うれしそうに食事する姿を見て、歯科技工士になってよかったと思った。

 「一人一人口の中の環境が違うので、同じ場所の歯が抜けていても同じようなものを作るかというと、そうではありません。究極のオーダーメードですね」。藤井さんの研(けん)鑽(さん)の日々は続く。(上岡由美)

     ◇

 歯科技工士になるには 高校卒業後、大学や専門学校など歯科技工士の養成機関で定められたカリキュラムを2年以上学び、国家試験に合格することが必要。科学的な知識と正確な技術が要求され、合格すると国家資格である「歯科技工士免許」が取得できる。

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