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【話の肖像画】作家・湊かなえ(47)(3)アガサで眠れぬ高校時代

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2歳の頃、父と瀬戸内海に釣りに出かけた
2歳の頃、父と瀬戸内海に釣りに出かけた

 《多感な中学・高校時代には、ミステリーや古典に親しんだ》

 実家(広島県・因島)の生活圏内に、ちゃんとした書店ができたのは中学生のときでした。それまでは学校の図書室で本を借りたり、食料品店の隅に置いてある少女漫画雑誌「なかよし」を買ったりして読んでいました。当時は赤川次郎さんのブームで、「なかよし」にも「殺人よこんにちは」などの原作漫画が載っていました。書店ができたので、赤川さんの本を手に取り、それからコバルト文庫の田中雅美さんの「アリス・シリーズ」や、藤本ひとみさんの「まんが家マリナ・シリーズ」などへ。やっぱりミステリーが好きでしたね。

 高校入学前の春休み、新聞広告で与謝野晶子訳の『源氏物語』の新装版が出たと知り、書店に買いに行きました。書店のおばさんは父の同級生で、私の同級生のお母さんでもありました。希望を伝えたら、「そんな難しいの分からないわ。ちょっと待って」と言って、どこかに電話をかけたんです。

 現れたのは、うちの親世代が高校時代にお世話になったという国語の名物先生。『源氏物語』の原文が載った書物を持ってきて、「きみか、源氏を読みたいという身の程知らずは。これが読めたら買ったらいいんじゃないかな」と。「与謝野晶子訳がほしいのです」と伝えると、「それを早く言いたまえ。与謝野晶子訳は難しいだろう。円地文子訳、いや漫画の『あさきゆめみし』から読んだらいいんじゃないか」と薦められました。でも、そこは譲れないので与謝野晶子訳を買って、高校に入学して休み時間に読んでいたら、円地文子訳や『あさきゆめみし』を持っている子がいて、クラスで源氏物語がはやりました。

 それから、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を買って読んだら、夜は眠れない、眠れない。アガサにはまって、友達と貸し借りしながら、私は「ミス・マープル」、友達は「ポアロ」のシリーズを集めることになりました。

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