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医療機関普及にハードル コロナの情報共有システム導入3か月 

 新型コロナウイルスの感染者情報を各機関がインターネット上のデータベースに入力する厚生労働省の新システム「HER-SYS」(ハーシス)導入から3カ月が経過したが、完全な形での稼働に至っていない。ほぼ全ての自治体で導入済みだが、感染拡大で激務の医療機関では十分に普及しておらず、東京都などでは従来のファクスによる感染報告を併用。厚労省は現場の状況や課題を把握し、改善につなげるための調査に乗り出した。(植木裕香子)

 ハーシスは医療機関や保健所が入力した感染者の氏名、居住地、症状、接触者などの情報をまとめて管理し、国や自治体と共有できる仕組み。宿泊療養者、自宅療養者が日々の体調を自ら入力することも可能だ。

 従来の方法では医師が手書きの感染者発生届をファクスで保健所に送付し、保健所が感染状況に関するシステムに入力するなどの作業を行っており、集計ミスが生じることもあった。ハーシスの活用で速やかな情報共有によって実態を踏まえた自治体や国の感染対策を効果的に講じることに加え、保健所の負担軽減も期待されてきた。

 しかし5月29日の運用開始から3カ月経過したものの、その活用は完全な形では行われていない。これまでに厚労省は279項目にも及ぶ入力項目に関して保健所側からの「多い」という意見を踏まえ、全項目の入力は求めないようにするなど改善を実施。保健所を設置する都道府県や政令指定都市など155自治体のほぼすべてが導入したが、医療機関での未導入は依然として多い。

 全国で最多の感染者が報告されている東京都では過去の膨大な感染に関するデータをハーシスに入力するなどの準備を行い、8月、都内の自治体と連携して使用を開始。その一方、医療機関では導入しておらず、医療機関がファクスで発生届を送る従来の仕組みを併用する。

 都の担当者は新規感染者数が高止まりしている状況下でのハーシス導入で医療現場で混乱が起きることを懸念。保健所が操作に習熟してから医療機関や感染者本人が情報を入力する段階に移行するとしている。

 埼玉県によると、県内ではファクスによる発生届を送付する仕組みを併用している自治体が目立ち、医療機関からは「多忙を極める中で新システムを導入するのはさらなる負担につながる」との懸念が寄せられているという。県担当者は「感染者数が減少し、状況が落ち着かなければ、新システム浸透は難しいのではないか」との見方を示す。

 各地で打ち込まれるデータについて誤入力がないかチェックする統一的な仕組みがないことも課題として浮上。厚労省は8月下旬から9月上旬にかけて自治体に対して入力の状況と、医療機関による入力実現に向けた改善ポイントなどについて質問する調査を実施しており、担当者は「調査結果を分析し、必要に応じてシステム改善に努めるなどしながら全面導入につなげたい」と話す。

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