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【話の肖像画】静岡大教授で文化人類学者・楊海英(55)(20) 目的だった博士号を取得

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内モンゴルでの調査のとき。チンギスハンを祭る宮殿を訪れて(右)
内モンゴルでの調査のとき。チンギスハンを祭る宮殿を訪れて(右)

 《通訳として帯同した科学研究費補助金(科研費)のプロジェクトで、初めてフィールドワークに参加した。そこで、同じ遊牧民でも民族ごとに違いがあることを知る》

 ユーラシアの遊牧民には英雄叙情詩を語る文化があります。語り手が天幕に人を集め、チンギスハンやアレキサンダー大王などの壮大な物語を延々とそらんじる。長い物語だと数カ月間も語り続け、そういうときは「今日はここまで語るよ」とあらかじめ区切って、1日2、3時間、何も見ずに即興で語るんです。語り手は大変尊敬されていますが、ほとんどの人が字を読めない。読めると物語の内容を書いて残し、それを記憶して頭の中で読むから情報量が限られてしまう。字が読める語り手の調査を行ったことがあるのですが、その物語は圧倒的に短かったですね。

 遊牧民は語り手以外の普通の人も記憶力がすごい。一家の祖先の名前とそのころの一族の状況も代々、語り継がれているんです。モンゴル人は7代くらい前までで、私も子供のころまでは頑張っていました。カザフ人はすごくて27、28代前の祖先まで遡(さかのぼ)っていける。文化人類学では1代を20年と数えますので、カザフ人は500年以上前の1500年代、日本でいえば室町時代に自分の祖先がどこで何をしていたか、ごくふつうのおじいちゃんがすらすら話す。これにはびっくりしましたね。モンゴル人は識字率が高く、古文書に記録を残す傾向があるので、英雄叙事詩の語り手と同じで遡る祖先も少なくなり、それがカザフ人との違いだろうと思いました。

 《科研費のプロジェクトで通訳の仕事が一段落すると、自身の博士論文の調査も行った》

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