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藤井棋聖、タイトル全8冠制覇は最短で3年? 名人戦、強豪の壁突破が条件

最年少タイトルを獲得し、色紙を手に笑顔の藤井聡太棋聖=7月16日夜、大阪市の関西将棋会館
最年少タイトルを獲得し、色紙を手に笑顔の藤井聡太棋聖=7月16日夜、大阪市の関西将棋会館

 将棋の高校生棋士、藤井聡太棋聖(18)が史上初の高校生タイトルホルダーとなって半月が経過した。現在は2つ目のタイトル獲得を目指し、第61期王位戦七番勝負に挑戦中だ。そんな藤井棋聖に期待されるのがタイトル全8冠制覇。最年少記録を次々と塗り替えていく藤井棋聖が全冠制覇を達成するには、最短で何年かかるのか。     (文化部 田中夕介)

 王位戦で2冠目指す

 史上最年少の14歳2カ月で中学生棋士となった藤井棋聖は、今年の第91期ヒューリック杯棋聖戦が最年少タイトル挑戦の記録更新のラストチャンスだった。順調に予選から決勝トーナメントまで勝ち上がり、ベスト4に駒を進めた。ところが、コロナ禍の影響で4月から対局が中断、記録更新は消えたかに思われた。

 しかし、6月に対局が再開されると、将棋ファンの期待に応えるかのように、31年ぶりの記録更新となる17歳10カ月と20日の最年少で棋聖挑戦権を獲得。勢いに乗って、続く王位戦も挑戦者に名乗りを上げた。

 17歳の最強挑戦者は大舞台でも力を発揮した。棋聖戦五番勝負は、当時棋聖の渡辺明二冠(36)=棋王・王将=が得意としている矢倉戦で3戦3勝と圧倒し、シリーズ成績3勝1敗で初タイトルを獲得。18歳6カ月のそれまでの最年少タイトル獲得記録も30年ぶりに塗り替えた。

 並行して行われている王位戦七番勝負は木村一基王位(47)を相手に開幕2連勝。9月末日まで続く七番勝負で王位も奪取すれば、羽生善治九段(49)が平成4年に打ち立てた最年少2冠の記録(21歳11カ月)を塗り替える。

 日本将棋連盟の規定では、タイトル獲得2期で八段に昇段する。八段昇段の最年少記録は加藤一二三・九段(80)の18歳3カ月で、王位奪取で八段昇段の最年少記録も更新する。

 あるベテラン棋士は「王位のタイトルは獲得する可能性が極めて高い。2冠となると、その後もタイトルを獲得し続けるだろう。八大タイトルを制覇するのは、そう遠くはない」と推測する。

最難関は名人戦か

 次に藤井棋聖が獲得する可能性があるタイトルは、前期リーグで残留した王将。今秋から、前期挑戦者の広瀬章人八段(33)、豊島将之二冠(30)=竜王・名人、羽生九段ら7人によるリーグ戦で挑戦権を争う。七番勝負は来年1~3月に行われる。

 来年、獲得の可能性があるのは王将のほか、叡王、王座、竜王の計4タイトル。棋王は例年2~3月に五番勝負が行われるため、今期は予選で敗退している藤井棋聖が棋王を獲得するのは早くても再来年だ。

 八大タイトルのうち、棋聖戦など7タイトルは1年間かけて争われる。今年、タイトルを獲得できなければ来年、またチャレンジできるというわけだ。

 しかし、名人(七番勝負)のタイトルだけは異なる。名人に挑戦するためには順位戦のクラスを1年に1クラスずつ上がり、最上位クラスのA級で優勝しなければならない。

 藤井棋聖は今年度、上から3番目のB級2組に在籍しており、A級入りは早くても令和4年度。A級1年目で挑戦権を獲得すれば5年度に名人に挑戦でき、4勝で名人獲得だ。つまり、最速でも全冠制覇には3年かかる。しかし、将棋界のトップ棋士10人によるリーグ戦を勝ち抜くのは容易ではない。

豊島二冠には0勝4敗

 タイトル獲得通算99期の羽生九段が全7冠(当時)を制覇したのは平成8年。プロデビューから約10年後、初タイトルの竜王を獲得してから約7年後だった。

 藤井棋聖は果たして羽生九段の記録を塗り替えることができるか。

 最先端の将棋研究で知られ、「教授」の愛称で呼ばれる勝又清和七段(51)は「藤井棋聖は羽生九段の若い頃より凄い」と話す。30年3月、王将戦予選で藤井棋聖に勝利した井上慶太九段(56)は「昔からバランスの取れた、隙のない将棋だったが、それがレベルアップしている。大駒1枚、強くなっている。当時の藤井さんと今の藤井さんが対戦すれば、8、9割は今の藤井さんが勝つ」と表現する。

 「AI(人工知能)超え」「6億手を読む男」などと呼ばれるように、藤井棋聖には全8冠を制覇する棋力は十分に兼ね備えている。

 しかし、豊島二冠に0勝4敗、久保利明九段(44)や同期の大橋貴洸(たかひろ)六段(27)には2勝3敗、7月24日に行われた竜王戦決勝トーナメントでは初対戦の丸山忠久九段(49)に千日手指し直しの末に敗れるなど、藤井棋聖の前に立ちはだかる強豪棋士は多い。

 藤井棋聖の探求の道は続く。

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