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【正論9月号】米国で起きている潮流 トランプ再選阻止のうごめきに注意 福井県立大学教授 島田洋一

 一例を挙げよう。二〇一八年にアルゼンチンで開催されたG20のサイドで行われた米中首脳会談の場で、習近平国家主席は終始用意したメモを読み上げていたが、トランプ大統領はアドリブ中心で米側出席者の誰も、次の瞬間にトランプ大統領が何を言うか予想がつかなかった。習主席がトランプ大統領の再選を望む旨の発言をし、トランプ大統領が「大統領は二期までという憲法上の縛りを自分に関しては外すべきとの声がある」とホラ話で応えるなど夕食会は和やかに進んだ。

 本題に入ると習主席は、対中懲罰関税を撤廃するよう求め、パンダハガー(媚中派)の「ムニューシン財務長官がトランプに受け入れを説いていたところの見せかけの改善措置」を色々と並べた。トランプ大統領は全てについてただ「イエス」と頷き、米側の要求としては米農産物の輸入拡大を求める程度のことしか言わなかった。

 ところが会談が終盤に入ったところで、トランプ大統領はおもむろに対中強硬派のライトハイザー通商代表の方を向き、「何か言い忘れたことはないか」と発言を促した。水を向けられたライトハイザー氏は、「構造問題に焦点を当て、ムニューシン氏が心から愛した中国側提案を切り裂き、会話を現実世界に戻すべく努めた」という。最後にトランプ大統領が、「ではアメリカ側は交渉の責任者にライトハイザーを充てる」と宣言し、首脳会談は幕を閉じた。

 ブエノスアイレス会談から二日後、ホワイトハウスの大統領執務室で、結果を検証する政権幹部の反省会が開かれた。この場で、アメリカの知的財産を窃取して生産された中国製品はすべて輸入禁止にすべきというボルトン提案にトランプ大統領は改めて賛意を表している。

 またムニューシン氏が米中協議に参加したい意向を示したが、トランプ大統領は、ムニューシン氏は「(中国に)別の種類のシグナルを送っている。なぜ関与したがるのか分

からない。一体どうライトハイザーを支援するつもりなのか。君は為替の安定に努めよ」と撥ねつけ、「この問題についてはスティーブ(ムニューシン)ではなく君(ライトハイザー)の姿勢が欲しい、農産品の輸入を二、三倍に増やさせろ。グレイト・ディール以外はするな」と指示した。そして、中国側が応じなければ追加関税を課すとの方針を明確にしている。

 ボルトン氏はこの日のトランプの態度を高く評価している。ただこうした態度が安定的に持続せず、思い付きに走ってブレがちというのがボルトン氏の不満点である。

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 「正論」9月号 主な内容

【大特集 尖閣喪失寸前】

日本は「受け身」やめよ インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー

東シナ海は8月が危ない 東海大学教授 山田吉彦

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