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【話の肖像画】セブン&アイHD名誉顧問・鈴木敏文(87)(12)合理性より品質第一

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おにぎりなど、米飯の取り扱いを始めたころ。当時はレジカウンターで販売していた
おにぎりなど、米飯の取り扱いを始めたころ。当時はレジカウンターで販売していた

 《今やコンビニエンスストアでおにぎりを買うのは当たり前のことだ。しかしセブン-イレブンが開業した昭和40年代後半、様相は全く違っていた》

 「鈴木さん、あれはね。家庭で作るもので売る商品じゃないよ。だから無理だよ」。セブン-イレブンは開業当初、ファストフードとしてホットドッグを売っていた。品質が維持できない商品も出てしまうから、僕が「おにぎりをやれ」と言ったら、会社のメンバーから反対された。その理由が「売るものじゃない」。確かに発売当初は売れなかった。1日2、3個売れればよかった方で、それが常識。僕の言うことは非常識だったんだよ。でもね、考えてみると、日本人がおにぎりや弁当を食べる、つまりご飯を食べるのは当然のことだ。だから、「それがきちんと商品化できないはずはない」という理屈で説得した。

 《セブン-イレブンは51年におにぎりの開発に着手。53年にはフィルムでのりを挟み、食べるときにご飯に巻く、業界初の手巻きおにぎりを発表、人気を集めた》

 僕らは自分たちで全部、商品を考えて進めていった。大企業のメーカーもあるけれど、中小の、手作りでやってきたような地場メーカーと手を組んで商品開発をやったんだ。これは合理的な話ではないが、合理的に考える余地もなかった。

 何かやるといえば、合理性のことばかり言う人がいる。近代化というのは合理性を追求することだと思っているのでしょう。それは大きな間違いなんだ。今でも家庭で毎日ご飯を炊飯器で炊いているが、もしも合理性だけを考えたら、それをやめてまとめて炊いたご飯を配送すればいい。極端に言えば。

 《おにぎりや弁当など、「デイリー商品」と呼ばれるカテゴリーはその後、コンビニの1日の売り上げを支え、競合との集客力の差を生み出す源泉となる》

 赤飯は本来、蒸し器でもち米を蒸して作る。最初に赤飯をやろうと言ったら、商品部が試作で持ってきたのは、もち米を炊いた豆入りご飯。「これは赤飯じゃない」と話したら、「大きな蒸し器がない」と言う。僕が「ないなら作ればいい」と言ってね。1年かけて蒸し器を作ったんだ。

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