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「100年に1度」情報、洪水予報に反映されず 球磨川氾濫

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 7月の豪雨災害で犠牲者50人以上など大きな被害が出た熊本県の球磨(くま)川で、気象庁が氾濫発生の約5時間前に「100年に1度」レベルの水位上昇を予測していたが、洪水予報に反映されていなかったことが27日、分かった。指定河川の球磨川では管理者の国土交通省が中心になって水位の実測値に基づく災害予測を行うためで、気象庁の予測が有効に活用されなかった形だ。

 九州南部で7月3日夜から降り続いた豪雨で、熊本県人吉市の球磨川水位観測所では水位が急上昇し、4日午前4時20分に5段階の警戒レベルで「4」相当の氾濫危険情報が出され、同5時15分に市全域に避難指示が発令された。同50分ごろに氾濫したとみられる。

 一方、午前1時時点で同市の流域雨量指数は、午前5時に「30年に1度」レベルの値に、午前6時に「100年に1度」レベルに相当する値に近づくと予測。午前2、3、4時各時点の予測でも「100年に1度」近くに到達する見込みで、実際に指数は午前6時にこの値を超えた。

 地域によって異なるが、「100年に1度」の大雨を雨量で表すと、熊本では日降水量が422ミリの雨とされる。

 気象庁の予測が活用されなかったのは、国交省と共同で発表する大河川を対象にした「指定河川洪水予報」に、気象庁の流域雨量指数が反映されていないからだ。国交省幹部は「大河川では水位の実測値に基づく確度の高い情報を出しており、アプローチが異なる。気象庁の指数はあくまでバーチャルな数字であり、必ずしも確度が高いとは言えない」と説明する。

 東京工業大の鼎(かなえ)信次郎教授(河川工学)は、英国で2009年、気象庁と国の河川機関が共同で予報センターを設置した事例を挙げ、「人員やデータは国交省にあり、予測技術は気象庁にある。人工知能(AI)のような最新技術で双方を統合すれば確度の高い情報ができる。『組織の壁』を突破するには法整備も含めた政治判断が必要だ」と話した。

■流域雨量指数 上流域の雨量や地形、地質などを基に一定のモデルに当てはめて計算することで全国2万河川の流域を対象に1キロ四方ごとに洪水の発生危険度を数値化した指標。気象庁は3時間先の予測を基に洪水危険度分布を公表しており、その中で指数が「30年に1度」の基準値に到達すると予想されれば5段階の警戒レベルで「3」に、「50年に1度」が予想されれば「4」、「50年に1度」の値に到達すれば、すでに洪水が発生している可能性が高い情報として示す。「5」は洪水の発生が確認された状態。

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