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【装丁入魂】グラフィックデザイナー・野村勝久さん 大事なものを包むイメージ

「大正昭和レトロチラシ」
「大正昭和レトロチラシ」

 □「大正昭和レトロチラシ 商業デザインにみる大大阪」橋爪節也著 青幻舎

 大正後期から昭和初期、大阪市が「大大阪」と呼ばれ、東京の人口をしのぎ日本一だったといわれていた時代があった。その時代に繁華街で配られていたチラシを厳選して紹介しているのが本書だ。

 遊びのあるカバーは、丸の中にレトロ感のある文字のタイトルが堂々と配されている。チラシのようにペラペラで、裏側が透けて見える。そこはチラシでびっしりと埋め尽くされ、めくってみてびっくりする。

 アートディレクションを担当したのは山口県でデザイン事務所を営むグラフィックデザイナーの野村勝久さん(46)。カバーの大きな丸は大阪のO(アルファベット)だという。「カバーの表にいっぱいチラシを使ってしまうとチープになってしまう」とシンプルにした。表は軽やかで裏はボリューム感がある。「表と裏のギャップを出したかった」とも。

 本書に収められたチラシはオールカラーで約360点。洋服・呉服、百貨店、薬局、病院、美容院など多種に及ぶ。大胆に抽象化された未来的なものから、色っぽいものなど多彩で、見ていて楽しい。庶民の熱気が伝わってきて、どこか懐かしい。

 100年ほど前の日本では、カメラの普及はまだ一般的ではなかった。「写真を使わない分、イラストや文字、色使いなどを工夫して目をひくデザインにしていたのでは」と野村さんは指摘する。

 当時のチラシはほとんど捨てられてしまっていたため、資料的にも貴重といえるだろう。それゆえ「大事なものを包むイメージにした」と装丁の意図を明かす。

 編集を担当した青幻舎編集部の楠田博子さんは「裏面印刷でチラシがうっすらと浮かぶカバーデザインであれば、本の中に多くのチラシが掲載されていることを読者に一目で伝えられるのでは。大大阪時代にタイムスリップした気持ちで眺められるようにまとめました」と話す。

 カバーのそでには「捨てられぬチラシ!」との文句も。本書をめくっていると、日々、新聞に入ってくるチラシも大切に思えてくる。(渋沢和彦)

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