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【ビジネスパーソンの必読書】

 今年も自然災害が列島を襲っている。被災地の方々には心よりお見舞い申し上げる。私たちには、リスクに備えるとともに、状況に柔軟に対応する力が試されているようだ。(情報工場「SERENDIP」編集部

◆「世界」を表現

 □『翻訳の授業』山本史郎著(朝日新書・790円+税)

 30年以上にわたり東京大学で英語や翻訳の研究・教育に携わり『ホビット』『赤毛のアン』などの翻訳でも知られる著者が、「翻訳の本質」に迫る。

 翻訳については一般的に、直訳か、意訳かといった議論がある。日本語訳の場合、原文の表現を尊重して、言葉を足したり省略したりせずに、忠実に日本語に置き換えるのが直訳。それに対し意訳は、原文の内容を重視し、それを日本語で伝えるべく翻訳者が独自に言葉を選ぶ。

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 著者が自らの信念として語る「本質的な翻訳」とは意訳に近いものであり、単純な「言葉の置き換え」を意味しない。文学作品であれば作者の頭の中を想像し、伝えようとしている「世界」を、日本語訳ならば日本語の形式にのっとり表現する。

 この「翻訳の本質」の解釈は、普段の日本語同士のコミュニケーションにも応用できる。すなわち、表面上の言葉に捉われず、常に、相手の頭の中を想像するクセをつければ、本質的な対話が実現できるのだ。

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◆ブランドの「強さ」

 □『食卓の経営塾』横川正紀著(ハーパーコリンズ・ジャパン・1600円+税)

 国内に50店舗超を展開する食料品店中心のブランド「ディーン&デルーカ」。その創業者で現経営者の著者が、「強さ」の秘密を明らかにする。

 ディーン&デルーカは、ニューヨークに本家があった(今年4月に経営破綻)。2003年に著者が日本のディーン&デルーカを始めた当初は、扱う食材やおしゃれな店舗デザインなど、ほぼ本家を踏襲した。だが、大赤字に陥る。

 悩んだ著者は、本家創業者の、ジョルジオ・デルーカ氏に助言を求める。すると聞かれたのが「君の店にはソバがあるのかい?」。

 そこで著者は表面上の模倣ではなく、デルーカ氏の「食材はそれが作られた土地の人々の生活の中にある」という「考え方」を取り入れる。国内外問わず、本当に良いものを選び抜き、店に並べたのだ。

 基本的な考え方をブレずに持った上で、ルールや常識に捉われず自由な発想をする。そのスタイルこそが「強さ」に他ならない。

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◆発想促す「問い」

 □『問いのデザイン』安斎勇樹、塩瀬隆之著(学芸出版社・2700円+税)

 アイデア創出や組織改革などに「ワークショップ」を活用するケースが増えている。そのかじ取りをするのが「ファシリテーター」である。

 ファシリテーターは、参加者にいくつもの「問い」を投げかけて課題を明確にし、発想を促す。その問いをどのようにデザインしていくかを理論と実践で解説するのが本書だ。

 著者らは、「解決すべき課題」を定義するのに有効な思考法をいくつか挙げている。たとえば、文字通り原点に立ち返った素朴な疑問をぶつける「素朴思考」、物事を批判的に捉え、盲点や裏側を探る「天邪鬼(あまのじゃく)思考」などだ。

 ワークショップの目標の中にある「名詞」を「動詞」に置き換える手法も面白い。例えば「新しいオフィスの椅子のアイデアを考える」を「未来のオフィスにおける『座る』を再定義する」というもの。

 いずれにせよ、本質をとことん掘り下げるというのが「問いのデザイン」の基本といえそうだ。

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