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【ビブリオエッセー】活字で楽しむ時代劇 「おいらん若君 徳川竜之進」シリーズ 鳴神響一(双葉文庫)

 映画もテレビも、一途に時代劇である。読む本も時代小説の文庫が中心で、シリーズものは全巻まとめ買いして一気読み。昔の時代劇は録画して何度も見ているし、最近のテレビドラマだと『妻は、くノ一』や『みをつくし料理帖』などが気に入っている。不要不急の外出を控える日々に時代劇はぴったりだ。

 この『おいらん若君-』もすっかりハマった時代小説のシリーズ。史実には忠実に、作り話の設定は大胆に、そんな典型的な作品ではないか。『暴れん坊将軍』でもおなじみの八代将軍、徳川吉宗の宿敵といわれた尾張徳川家の七代当主、徳川宗春が、吉宗の忌避に触れ、下屋敷で蟄居していたとき、侍女との間にできた男児、つまり御落胤が主人公の徳川竜之進だ。

 尾張徳川家の当主も次の代に移り、現当主にとっても騒動のもとになる竜之進の存在は危うい。そこで刺客が放たれ、生母が殺された。危機一髪で男児を救ったのが甲賀の忍びの血を引く美咲。闇の一味は執拗に命を狙う。このあと手下となる甲賀の忍びの男たちと身を隠した先がなんと江戸の新吉原遊廓だった。

 その17年後、美咲は妓楼「初音楼」の女将に、忍びの男たちは番頭や手代となり、竜之進は女装し、「篝火(かがりび)」を名乗る超美形の花魁として名を馳せていた。昼は花魁、夜は外岡竜之進を名乗る若侍となって、巷に繰り出す。

 世は田沼時代。竜之進たちは弱きを助け、悪を討つ、世直しに乗り出した。そして刺客たちとの最後の戦い。忍者と忍者の決闘シーンは迫力満点。竜之進の秘剣「見返り柳剣」が冴えわたる。新吉原の様子が細かく描かれ、これも興味深かった。1冊目の「天命」から「昇龍」まで全5冊。読み返しても、また楽しい。

 大阪市鶴見区 奥田麗子 70

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