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【絵本を味わう 子供とともに】「おもしろい」を深く感じて

いたずらのすきなけんちくか
いたずらのすきなけんちくか

 世界的建築家の安藤忠雄さん原作の絵本があります。今年3月に小学館から刊行された『いたずらの すきな けんちくか』(はたこうしろう絵)です。この絵本は今月5日に大阪にオープンした「子ども本の森 中之島」が舞台のお話です。この図書館は新型コロナウイルスの影響で、3月の開館が延期されていました。

 小学生の兄と妹が、この不思議な建物にやってきます。入り口にある大きな青りんごに驚き、「たんけんしがいが ありそうだな」と中に入っていくと、怪しい小道を発見します。「ひみつの においが する」と進むと、音が反響して吸い込まれる薄暗い不思議な空間がありました。そこに建物を設計した黒い服を着たおじさんが現れます。

 おじさんは、いたずらを仕込んださまざまな面白い建物が載った本を見せてくれます。そして、おじさんは言います。

 「べんりじゃないもの。いっけん むだにおもえるもの。すぐには こたえが わからないもの。そういうものが じつはいちばん おもしろい」

 「きみは なにをする? って かたりかけてくるような たてものが ぼくは おもしろいとおもうんだ」

 そんな建物に人々が集い、知り合い、また、1人で考えをめぐらせることで、建物に命が宿り、新しい物語が始まる-。

 おじさん=安藤さんの言葉は、人が育つには自由でじっくりと考え、関わることができる時間が必要であることを教えてくれます。ネット社会が進む中でも、子供のころに本を読むこと、本に出合うことの大切さも。

 「おじさん、けんちくかって なんだか おもしろいね」

 そういう子供に、おじさんは答えます。

 「うん。ぼくもね けんちくかって おもしろいなあって ずっと おもいつづけているんだ」

 この本の中に何度も使われる「おもしろい」という言葉。その意味を深く味わいたい一冊です。(国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子)

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