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【ビブリオエッセー】恐るべし、その生存戦略 「だれかに話したくなる あやしい植物図鑑」監修・菅原久夫 絵・白井匠、クリハラタカシ(ダイヤモンド社)

 マンションの近くに一坪ほどの畑を借りて、一年になる。去年はさぼって雑草だらけにしてしまったが、今年は気合を入れ、春に夏野菜の種をまいた。ミニトマト、キュウリ、トウモロコシなど、子供たちと一緒に選んだ種は芽を出し、すくすくと成長している。

 新型コロナのため学校も幼稚園もお休みの日々、外の空気を吸いに出かける先は畑である。あとは家で本を読むか、絵を描く。

 この図鑑、小学一年生の長男も読めるほどイラスト豊富で楽しい。親がつきっきりでなくても読んでくれるのがありがたく、会話も弾む。

 「植物は『動けない』んじゃなくて、『動かない』んだって」「ふーん」。

 無駄に力を消耗しないのだ。テレワークなど「動かない」働き方が見直されている今、植物はずっと進んでいた。

 「虫や鳥に食べられるのは『わざと』らしいよ」「へええ」。

 植物の生存戦略だ。気がつくと私もすっかりこの図鑑に引き込まれていた。

 例えばトマト。栄養いっぱいで人には優しいが虫には厳しいらしい。葉を食べられると周囲の葉を毒化するガスを出し、葉の上の幼虫を殺してしまう。その後、地面に落ちた虫の栄養を根から吸い取るのだ。知らなかった。

 ほかの植物の発育を毒ガスで邪魔するクスノキや花が枯れるとさやが骸骨みたいに見えるキンギョソウ、30階建てのビルに負けないノッポのレッドウッドなど世界の植物のあやしい話が満載。恐るべし、植物たち。

 子供たちと畑へ行き、本を読み、絵を描く。トマトの近くを虫が飛んでいるとつい目で追ってしまう。植物に対する見方も変わった。野菜たちをドキドキしながら観察する毎日である。

 大阪市住之江区 佐竹加織 44

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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