PR

ライフ ライフ

【話の肖像画】作家・阿刀田高(85)(10)直木賞選考「未来への飛躍」重視

前のニュース

芥川賞・直木賞贈呈式で祝辞を述べる=平成16年2月
芥川賞・直木賞贈呈式で祝辞を述べる=平成16年2月

 《平成7年の上期から25年下期まで直木賞の選考委員を務めた》

 小説の選考は誰がやったらいいかというと、文芸誌の編集長を長く経験して、新人をたくさん見てきたような方が適しています。

 編集者は大ざっぱにいえば、「今までこれが良かった」を見る。私はそれも心掛けましたが、「これは俺には書けない」というポイントを少し大事にしました。候補作品からどこか、自分には書けない、「未来に飛躍しているもの」を感じるときがあるんです。

 私が『ナポレオン狂』で直木賞を受賞したときに、いちばん強く推してくださったのは新田次郎さんでした。編集者から聞いた話ですが、新田さんは選考のときに「これは俺には書けない」とおっしゃっていたそうです。びっくりしました。新田さんが書いている小説の傾向から考えて、評価してくださるとは思ってもみなかった。もしかしたら、私と同じ物差しを持っておられたんじゃないのかな。

 《候補作品を読むときは、集中できるよう時間を作った》

 私は選考会に近い日にちで、条件が均一になるように1回、丁寧に読むことを基本としていました。1日1作読むペースで、6作あれば6日予定をあけておく。予備日も2日設けていました。どの作品も朝起きて、手にとって夜までに読み終えます。その間には他の原稿の締め切りは入れません。1回読んで「今回はこれで行こう」と決まればそれでいいし、絞れない場合は、予備日に読み直します。このときは、1ページ目から読むのではなく、比較のために気になるところだけでしたね。

 《選考会では、文壇の論客が集まり、大いに盛り上がった》

 最初にまず投票して、だいたい点数の低いものから議論に入っていくんです。2~3作に絞ったところで休憩していました。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ