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【ビブリオエッセー】幻海師範は理想の先生 「幽☆遊☆白書」冨樫義博(集英社)

 数年前、中学校で教員をしていた時に思った。極端に言うと先生には2種類のタイプがいるのではないか。

 一つ目は生徒に何かを教えることが好きなタイプだ。このタイプはあくまで「ものを教えている自分」が好きなため、困ったことに生徒が自分より優秀であることを苦手とする傾向がある。

 二つ目は自分が教育することで生徒が人として成長することにやりがいを感じるタイプだ。『幽☆遊☆白書』を読み直し、幻海師範はまさに二つ目のタイプではと思うのである。

 『幽☆遊☆白書』はアニメにもなった人気漫画で、人間界、霊界、魔界をめぐり人間や妖怪が異能力を尽くしてバトルを繰り広げる。幻海は70歳前後。霊力を自在に操る霊能力者で、「霊光波動拳」の使い手であり、主人公、浦飯幽助の師匠だ。彼女にはかつて戸愚呂という仲間がいた。共に武道を極める者同士だったが戸愚呂は「永遠の若さとパワーを手に入れたい」がため人間から妖怪になってしまう。

 舞台は暗黒武術会。幻海は、武術会で最強の相手、戸愚呂との戦いを目前に控えた幽助にこう告げる。体は老い、圧倒的な力に対抗しきれなくなることは自然だと受け入れ、「あたしはそれでいいと思っている」「流れのまま生き死ぬ」「次の世代に望みをたくせればな」と、次世代の幽助に自分が培ってきた全霊力を惜しげもなく譲り渡すのだ。結果、幽助は苦戦を強いられながらも勝利するのである。

 厳し過ぎる指導にも関わらず若い後輩たちに「ばーさん」と親しまれ、随所に見せる優しさが印象的だ。次の世代がよりよく生きるために全力で寄り添う人。将来は、幻海師範のようなおばあちゃんに、私もなりたい。

 千葉市美浜区 市水天 33

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