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【コロナ その時、】(1)届かなかった武漢医師の「警鐘」 2019年12月8日~

 20日に召集された通常国会の焦点は首相主催の「桜を見る会」だった。

 野党は当初、新型コロナ対策をほとんど取り上げなかった。安倍晋三首相でさえ、20日の施政方針演説で新型コロナに言及せず、7月に控えた東京五輪に触れて「世界中に感動を与える最高の大会とする」と意気込んでいた。

 日本の大手企業トップの間にもきたる東京五輪・パラリンピックの開催を理由に、堅調な景気回復を見通す声が多かった。

1月22日 トランプ氏「完全に制御」

 新型コロナが経済に影を落とし始めたのは1月半ば以降だ。武漢便を運航する全日本空輸は18日、せきや発熱などの症状がある場合は入国時に検疫官に申し出るよう機内アナウンスを始めた。中国からの訪日客の減少が業績圧迫要因になるとみられた航空や化粧品関連の株価は下落した。

 それでも、日本政府は楽観的な経済シナリオを維持し続けた。日本銀行も歩調を合わせて21日、令和元年度から3年間の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しを上方修正した。

 世界の指導者にとっても、新型コロナはまだ中国での出来事だった。

 後に累計200万人以上の感染者、11万人以上の死者を出し、世界最大の被害に襲われることになる米国では、トランプ大統領が1月22日、記者団から新型コロナを懸念していないかと問われ、「完全に制御している」と答えていた。

 日本で「桜を見る会」が焦点になっていたのと同じように、米国ではトランプ氏への弾劾裁判の行方、欧州では31日に迫った英国の欧州連合(EU)離脱に注目が集まっていた。

1月31日 米が入国禁止措置

 中国が「原因不明のウイルス性肺炎」を公表してから1カ月後の1月31日、米国はようやく中国渡航歴のある外国人の入国を禁止し、イタリアは非常事態を宣言した。

 武漢在住の邦人を乗せたチャーター機第1便が帰国したのは1月29日だが、日本にとってはこの時点でも新型コロナは「外国の話」だった。日本政府が新型コロナの対策本部を設置したのは翌30日。国内での感染拡大を防ぐことよりも、入国者の把握や健康管理に重点が置かれており、首相は「水際対策などのフェーズをもう一段引き上げる必要がある」と語った。

 そのころ、武漢では最初に警鐘を鳴らした李文亮医師の体を新型コロナが死に向かって蝕(むしば)んでいた。香港では大型クルーズ船から下船した乗客の一人が発熱を訴え、後に感染が判明した。台湾から那覇、横浜に向かう航路にあったそのクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は2月に入り、日本政府に新型コロナ感染の過酷な現実を突きつける。

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