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【話の肖像画】作家・篠田節子(64)(9)20年に及ぶ母の介護

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母(左)と(篠田節子さん提供)
母(左)と(篠田節子さん提供)

 《介護は、家族にとって、ときに“地獄のような現実”を突き付けてくる。それを、遠慮会釈なく小説の形で描いてきた。『長女たち』(平成26年)に収められている「ファーストレディ」では、糖尿病の母親を看(み)てきた娘が、腎臓移植を求められ、ふと崖の前で母の車いすを支えた手を一瞬、放してしまう…》

 追い詰められているんですよね、みんな。看ている家族らの苦労は、糖尿病であっても、認知症でも変わりはありません。いや応なく、家族は(地獄のような)現実を直視せざるを得ないのですよ。

 《実感がこもるのは、自分自身も「当事者」だからだ。大正生まれで、90代半ばの母親は認知症を患い、その介護は約20年に及んでいる》

 最初は認知症という認識がなかったのです。父が母の様子をみて「ちょっとこのごろ変だな」って思っていたくらい…。しばらくして、私が実家の近くに引っ越し、昼間のうち母は、私の家へ来るようになりました。母はトイレも1人でできるし、食事もかなり危なっかしいけれど、「介助なし」でできる。ただ、認知症という病気は目を離すと、とんでもないことになりかねません。だから、(介護する側が)常に緊張して見守っていなければならない。「次はどう動くか?」と相手の方を気にかけながら、気が抜けない状態が、それこそ何年も何年も続くわけですよ。

 例えば、仕事のストレスだって大変でしょう。でも、勤めを終えて、自分のベッドへ入れば、とりあえず忘れられる。(介護の場合は)10年超えてそれがずっとあるというケースも珍しくない。そういう意味では仕事のストレスとはまったく違います。

 《エッセー『介護のうしろから「がん」が来た!』に、施設へ入った母親が、同室の入所者に対して「手をあげた」と告げられる場面がある》

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