PR

ライフ ライフ

【ビブリオエッセー】人間の心に潜む悪魔とは 「デビルマン」永井豪とダイナミックプロ

 〈互いが疑心暗鬼になり、情報が錯綜し、混乱が混乱を呼ぶ-〉。これは今般のコロナ禍ではなく、永井豪の名作『デビルマン』のことである。

 『デビルマン』は、主人公の不動明が人間を守るため地球の先住生物デーモンたちと死闘を繰り広げる話だ。明は悪魔の体に人間の心を持ち続ける唯一のデビルマン。漫画でありながら大人が読むにも堪える深いテーマと思索的な物語は当時、愛好家だけでなく若い漫画家にも衝撃を与えた。私も何度も読み、今回は古書店で見つけた全集で改めて読み直した。

 物語は不動明がどんな経緯でデビルマンになったかというところから始まる。デーモン一族が北極の氷の中から目覚め、人間に奪われた地上を取り戻そうと行動し始めていることを察知したのだ。そこでデーモンに対抗する力を得るためデーモンとの合体に踏み切った。リスクを乗り越え合体に成功した明は、しかしデーモン一族との血で血を洗う果てしのない戦いの地獄へと身を投じることになる。

 終盤、デーモンと合体した半人間のデビルマンが次々と生まれる。報道によりデビルマンが人間社会に紛れ込んでいることが明らかになると人間たちは隣人を疑い、密告し、魔女狩りを始めた。疑いをかけられた者は人間でありながら連行され、殺される。明は親しい人たちが惨殺されたとき、人間の本性や本当の悪魔とは何かを知って、絶望のあまり怒りの権化となる。やがて地球から人間は消え、デビルマン軍団とデーモン軍団の最終戦争へ。

 このコロナ禍の中で私たちは何におびえ、何と闘っているのか。本当の敵とは? 今だからこそより深く考えさせられる漫画である。

 京都府久御山町、池乃大46

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ