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茨城県内18の海水浴場が開設中止 感染防止と並ぶ意外な理由…

海水浴場の開設中止が決まった大洗サンビーチ、大洗町は水難事故防止のために遊泳禁止の措置も検討している=10日午前、同町(永井大輔撮影)
海水浴場の開設中止が決まった大洗サンビーチ、大洗町は水難事故防止のために遊泳禁止の措置も検討している=10日午前、同町(永井大輔撮影)

 茨城県内の海水浴場全18カ所が、今夏の開設中止を決めた。5月初旬から1カ月以上にわたり新型コロナウイルスの新規感染者は確認されておらず「第1波は収束」(大井川和彦知事)した茨城の海水浴場が中止を決めたのはなぜか。新型コロナへの懸念はもちろんだが、開設には、もう一つの大きな要因がネックとなった。

 太平洋に面した茨城県には、北茨城市▽高萩市▽日立市▽ひたちなか市▽大洗町▽鉾田市▽鹿嶋市▽神栖市の計8市町に18カ所の海水浴場がある。特に、大洗町の2海水浴場は例年計20万人近くが訪れる県内最大の人気スポット。東日本大震災が発生した年の夏も開設していたほどだ。

 同町によると、大洗町の海水浴場は明治時代から開かれているが、中止の記録は残っていないという。町ではこれまで、地域経済の復興を目指す観光協会や旅館組合などの訴えもあり、県内のウイルス感染も収束していることから、海水浴場の開設を視野に検討を進めていた。

 ところが、ここで海水浴場開設に「待った」をかける問題が浮上した。ライフセーバーの確保だ。安全な海水浴場を開く上で万全の監視体制は欠かせない。同町商工観光課によると、町内では例年、任意団体「大洗サーフライフセービングクラブ」を中心に救護体制を築いてきたが、今年はライフセーバーの大半を占める大学生が、コロナ禍で夏休みが決まらず、長期勤務を担えない。事前の救助活動訓練や講習会も会場が取れず実施できなかった。

 また、日本ライフセービング協会(JLA)の救護活動ガイドラインが示す新型コロナ対策が、厳格なものである点も影響した。

 「炎天下でのマスク着用」「人工呼吸の禁止」「要救助者でも可能な限り2メートルの距離を保つ」…。実質的な活動禁止に近い内容が含まれており、万全の救助活動は極めて難しい。

 もちろん、海水浴場の利用者が密集することによる感染拡大の可能性を排除できないとの理由もある。千葉県や神奈川県など首都圏の海水浴場が軒並み開設を見送る中、茨城県だけが開設すれば、県外の利用者が集中し、感染リスクは避けられない。

 感染拡大の危険性に加え、水難事故を防ぐ安全態勢が整わないことも重なり、各自治体は昨年夏に県全体で48万人が訪れた海水浴場の今回の開設を断念することにした。宿泊業など地元関連産業の受難も当分続きそうだ。(永井大輔、写真も)

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