PR

ライフ ライフ

【この本と出会った】『こどものとうひょう おとなのせんきょ』 慶応大教授・清水唯一朗

清水唯一朗・慶応大教授
清水唯一朗・慶応大教授
その他の写真を見る(1/2枚)

 ■民主主義のあり方、絵本で問う

 「そろそろ選挙があってもおかしくない時期になりましたね」。先週の講義でそう話したところ、学生たちはずいぶん驚いていた。

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだ先の見通しがつかない。こんななかで選挙なんてありえない。そう考えるのはごく自然なことだろう。

 研究者の目線は少し違う。現職の衆議院議員が就任して2年8カ月が過ぎた。それはちょうど戦後、現行憲法下での衆議院議員の平均任期に相当する。

 もっとも、これまで25回行われた総選挙のうち13回までが10~12月に行われている。スケジュールから見れば、もう少し後かもしれない。

 当の政治家はどうか。自身の再選、自党の勝利を期すべく準備に余念がないことだろう。いつが有利か、時機を見計らっていることは間違いない。

 ことほど左様に、選挙にはさまざまな立場や思惑が交錯する私たちの社会の縮図がある。「主権者教育」などと肩ひじを張らずとも、これほど優れた学習の題材はほかにない。

 ところが、いざ選挙について子供たちと話してみようとすると、「教育の政治的中立性」の壁ゆえか、なかなかよい教材が見当たらず、困った。

 そんななかで出会ったのが本書である。「だるまちゃんとてんぐちゃん」で心温まるストーリーを描いたあの作家が、と意外に思われるかもしれない。しかし、本書ではあの温かさと人間味であふれた世界観をそのままに、民主主義のありようが問いかけられている。

 作中の子供たちは大人がする「せんきょ」に学んで「とうひょう」を行い、多数決で遊び場の使い方を決めた。多数決の結果には従わなければいけない。そう信じた子供たちは、自由に遊べなくなり、不満をためて、ケンカをはじめてしまう。

 幸い、子供たちは代表を選び、代表たちがみんなの声を聞いて案を練る方法を見いだす。代表の案をさらにみんなが相談して実施され、それぞれが楽しく遊べるようになった。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ