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【ビブリオエッセー】「心の声」をたどっていくと 「きみに会いたい-I Miss You」芝田勝茂(あかね書房)

 みなさんは人の心を読める能力を持ったらどうしますか。私もこの本を読む前は、とてもいい能力で、いろんなことに使えるからほしいなあと思いました。でも読んだ後は、やっかいな能力なんだと思い直しました。

 主人公の幸恵は人の心を読む力を持った中学生の少女。でもその力のせいで自分のことを同級生たちがどう思っているかも分かり、とてもつらくなります。そしてある日、幸恵の心に「きみに会いたい」という「声」が聞こえてきたのです。知らない少年の声でした。

 何度も心の声で呼びかけられ、幸恵は少年に会って話すことにしました。少年は幸恵と同じ年ごろでしたが、とてつもなくおそろしいことを考えていました。世の中への怒り。町を焼け野原にしたいとまで考えていたのです。

 そんな少年に幸恵は、あなたはおかしい、まちがっていると訴えます。このあと、原発で事故が起きました。その後もトラブルは続き、幸恵は少年の仕業だと突き止めます。さて、その少年はいったい何者だったのか。最後に幸恵自身がその正体に気づきます。

 この場面が一番驚きました。おそろしい少年の正体に。でもこの本を読んで、だれにだって憎しみの心はあるから、それをどう自分自身で受けとめるかが大切なんだと思いました。

 最後に、幸恵が少年を抱きしめるシーンがあって、そのとき私は憎しみの心も愛があれば変われるんだと知りました。本当は少女に抱きしめてほしかったというせつなく素直な心を知って、言葉にできないような思いになりました。とてもあたたかい気持ちになれました。

 大阪市城東区 松本七羽12

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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