PR

ライフ ライフ

大地と時代の風の中で 没後50年 神田日勝展

「馬(絶筆・未完)」1970(昭和45)年 神田日勝記念美術館
「馬(絶筆・未完)」1970(昭和45)年 神田日勝記念美術館
その他の写真を見る(1/3枚)

 北の大地で土を耕し、絵を描いて短い命を燃やした男がいた。昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に出てきた「天陽くん」のモデル|でピンとくる人も多いはず。没後半世紀の節目に画家の全貌に迫る「神田日勝(にっしょう) 大地への筆触」展が、東京ステーションギャラリー(東京・丸の内)で始まった。「農民画家」というイメージは上書きされ、時代に敏感に反応し続けた姿が印象的だ。(黒沢綾子)

 馬を描き続けた画家だ。息絶えた農耕馬が横たわる代表作「死馬」(昭和40年)。下絵段階ではかたわらに悲しむ人間を描いていたが、最終的に馬だけを画面いっぱいに表した。べニア板にペインティングナイフで描く神田独自のスタイルで一本一本、丹念に描写された毛並みは、まだ湿り気を帯びてつやつやしている。苦楽を共にした愛馬への思い、悲嘆の中でなお対象に迫ろうとする画家の執念を感じさせる。

 「馬(絶筆・未完)」(45年)も撫(な)でたくなるほど生々しい。が、半身のまま断ち切れている。この年、神田は腎盂(じんう)炎をこじらせ敗血症により32歳で没した。道半ばで倒れた画家の姿を重ねざるを得ない。

×  ×  ×

 12年、東京生まれ。20年に戦災に遭い、一家で拓北農兵隊に加わり北海道へ渡った。入植地である十勝地方の鹿追村(現・鹿追町)に着いたのは終戦前日。過酷な開拓生活の中、兄の影響で絵に目覚めた。東京芸大に進んだ兄に対し、神田は地元に残ると決め、農業のかたわら独学で描き続けた。

 18歳で地元の公募展に初入選して以来、画歴は15年に満たない。地方で孤高に歩んだ画家と思いきや、意外な展開を見せる。「同時代の美術に敏感に反応し続けた、日勝の姿も見てほしい」と冨田章館長。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ