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【ビブリオエッセー】寝る間も惜しい原色の競演 「日本プロ野球ユニフォーム大図鑑」綱島理友(ベースボール・マガジン社)

 「もはやこれは歴史書である」。帯にこう記されたこの本は、図鑑である。日本プロ野球草創期から、本が出版された2013年までの、消滅した球団も含めたセパ全球団に及ぶユニフォームの変遷史で、開けばオールカラーの美しい手描きのイラストが躍る。当然、子供の頃、球場へ見に行った当時のユニフォームがあり、懐かしさと同時にそれを着る選手を初めて生で見た、何ともいえない緊張感までよみがえってきた。

 今でこそ赤などの原色は当たり前だが、カラーテレビ放送が普及し始めたころの、親会社が見栄えを考慮して選んだ背景や、選手らが恥ずかしがったという話などイラスト解説には時代を反映した裏話が満載だ。私がファンだった、いまはなき阪急ブレーブスの変遷などそそられるまま寝る間も惜しんで夢中で読みふけった。サンケイアトムズ、これも懐かしい。

 全3巻で計630ページ。読むほどに、とにかく取材量に圧倒される。戦前の、今や不鮮明な写真でしか残っていないユニフォームまで執念の取材と詳しいイラストで再現。1931年と34年の、大リーグとのオールスター戦のものをはじめ資料的にも重要な図鑑。「歴史書」に過言はあるまい。

 複製ユニフォームはいま、観戦ファッションとして根づいた。自分が好きな年代のものを思い思いに羽織るのは、球団の歴史を知ることにもなり、意義深いことだろう。なによりデザインが多彩な観客席は、これを読んだ後に改めて見渡せば図鑑のライブ版だ。

 ようやくプロ野球が開幕するが、見に行ける日を心待ちにしながらこんな本を紐解くのも、「プロ野球のたしなみ」の一つかもしれない。

 兵庫県川西市 大村昌 47

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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