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【書評】『教科書抹殺』藤岡信勝、新しい歴史教科書をつくる会著 検定制度「修正」の起爆剤に

 中学校の教科書検定で、「新しい歴史教科書をつくる会」が進める自由社の教科書に405カ所の欠陥があったとして、一発不合格になった。だが、欠陥があるのはむしろ、現行の検定制度の方ではないか。

 それを気付かせてくれるのが本書だ。405カ所の指摘のうち7割以上は「誤解する恐れのある表現」、あるいは「理解しがたい表現」という、教科書調査官らの主観的判断である。本書ではこのうち100カ所について、教科書調査官らの指摘事由と、つくる会側の反論をのせているが、坂本龍馬の功績をも否定するような指摘など、それこそ「理解しがたい」事由が多いことに読者は驚くだろう。

 私は検定結果の公表前、3月10日の参議院文教科学委員会でこの問題を取り上げ、幾つかの記述についてなぜ欠陥なのか問いただした。ところが大臣も文科省幹部も「現時点では中身のコメントは差し控えさせていただきます」と繰り返すだけだった。検定結果が公表された今、少なくとも本書の100カ所の反論に、文科省は誠実に答える必要がある。

 そして、情報公開が不十分な現行の検定制度を、抜本的に見直す必要があろう。

 本書が詳述するように、以前の制度は、修正しないと認めない「修正意見」と改善点をアドバイスする「改善意見」に分かれていた。それを「検定意見」に一本化し、全て欠陥とカウントして一定数以上を不合格とするのが現行制度だ。これだと執筆者が萎縮し、検定というより検閲になってしまう。

 そこで「一発不合格制度を廃止せよ」と、本書は説く。同感だ。以前の制度を復活し、「改善意見」が出された段階で途中経過をいったん公表すれば、検定の透明性が高まり、教科書そのものへの信頼も高まる。

 日本の歴史に関して他国にお伺いを立てるような近隣諸国条項も、あわせて削除すべきだ。本書は、そうした検定制度の「欠陥」を「修正」する起爆剤となるに違いない。

 なお、つくる会教科書の市販本「検定不合格 新しい歴史教科書」(自由社)も刊行された。本書と併せて読むことで、教科書検定の問題点が、より明らかになるはずである。(飛鳥新社・1400円+税)

 評・松沢成文(参議院議員)

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