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【聞きたい。】柳澤秀夫さん 『記者失格』 謙虚さ、やさしさなくさずに

     (c)今村拓馬
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 NHKで2年前まで、情報番組「あさイチ」キャスターを務め、「ヤナギー」の愛称で人気だった柳澤秀夫さんが初著書を刊行。記者として湾岸戦争など紛争地取材の日々から「あさイチ」までをたどり、「伝えること」に思いをはせる。

 「自分のことを書くのがこんなにつらいとは思わなかった。つい自分を格好よく表現しようとして自己嫌悪に陥る繰り返しで…」

 華やかな経歴からは意外なタイトルも「自分のふがいなさと向き合い、いかに劣等生なのか思い知らされてきたから」とか。思い描く記者像は「独善的になりがちな世界で自分を客観視する冷めた目、謙虚さが大切。取材対象へのやさしさもなくしてはいけない」。

 その信念を追求した末の衝突、挫折のエピソードも著書に多いが、湾岸戦争取材時のイラク高官との“友情”など、貫いたがゆえと思える秘話も胸に迫る。

 それでもなお「いかに自分の目が節穴で、考え方も浅薄だったか」と衝撃を受けたのが平成22年から8年間担当した「あさイチ」。それまで気がつかなかった女性目線など「世界観が広がった」。降板直後、夫人はつぶやいたという。「人間らしくなったよ」-。

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 そして今、民放でコメンテーターとして活躍。ウケ狙いでなく、「愚直にコメントする。わからないこともあると言い切る。信頼されなければ伝わらない」と心得る。新型コロナウイルス報道でも、「どこまでコロナの正体をわかって話しているのか、3カ月前と180度違うことを平気で言う人もいる。コロナからもっと謙虚になれといわれているような気がする」。

 〈背骨は絶対に曲げてはならない〉と著書で強調する柳澤さんは会津藩士の子孫で、出身者の親睦会「会津会」第8代会長も務める。記者魂も会津の教え「ならぬことはならぬもの」の賜物か。(朝日新聞出版・1400円+税)

 三保谷浩輝

【プロフィル】柳澤秀夫

 やなぎさわ・ひでお 昭和28年、福島県会津若松市生まれ。早大卒。52年、NHK入局。「ニュースウオッチ9」キャスター、解説委員長なども務めた。平成30年、退局後、テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」などに出演中。

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