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【話の肖像画】柔道男子日本代表監督・井上康生(42)(1)新たなスポーツの力発見

井上康生さん(寺河内美奈撮影
井上康生さん(寺河内美奈撮影

 《豪快な内股を武器に柔道日本の重量級を牽引(けんいん)した平成12(2000)年シドニー五輪男子100キロ級金メダリスト。五輪には2大会連続で出場し、日本代表選手団の旗手も主将も務め、28(16)年リオデジャネイロ五輪は日本男子監督として全階級メダル獲得へと導いた。代表監督の集大成として迎えるはずだった今夏の東京五輪はしかし、新型コロナウイルスの感染拡大で1年の延期が決まった》

 五輪は4年に1度のスポーツの祭典。選手の目線も7月25日の競技開幕に向けて準備してきました。ただ、みんなが安心・安全かつ、平等に最大限の能力を発揮できる中で開催してこそ、意味があると思います。何よりも人命は第一です。残念な気持ちや戸惑い、不安もありますが、決定は受けとめていくしかない。選手たちは国際大会も延期や中止になり、練習環境もままならないでしょう。しかし自分で変えられることと、変えられないことがある。アスリートの一番の強化は柔道に限らず、現場です。稽古できない危機感は間違いなくあるでしょうし、選手は苦しい中で戦っていると思います。

 《1年間は長いのか》

 柔道も1年あれば、世界の情勢が変わってくるでしょう。的を絞った取り組みは難しくなります。そういう中でも、体力、技術において最低限をやるか、やらないかで、事態が収束した後に大きな差が生じるとも考えています。自粛生活で活動にも制限がある中で、その状況を順守しつつも何ができるのか。

 映像分析から研究している選手もいると聞きます。今までの能力を最大限に引き伸ばすことが難しい中では、影響を最小限に食い止めるリスクマネジメントが必要になる。そして、これからの未来においても、置かれた環境に対応し、乗り越えていく力は絶対に必要なことだと思っています。必ずやこの強敵に打ち勝つために、前を向きたい。

 《パフォーマンスで感動や元気を届けられない中でも、スポーツにできることはある》

 競技で最高のパフォーマンスをできることは一番でしょうが、スポーツがその他の部分で影響力を持てるということはとても重要だと思います。柔道もそうですが、多くの競技でトップアスリートがSNS(会員制交流サイト)上で言葉やトレーニング方法を積極的に発信している姿を見ると、これまでにはなかった新たなスポーツの力、価値を発見しているように思います。(聞き手 田中充)

【プロフィル】井上康生

 いのうえ・こうせい 昭和53年、宮崎県生まれ。平成12(2000)年シドニー五輪柔道男子100キロ級金メダリスト。世界選手権は11年から、全日本選手権は13年からいずれも3連覇を達成。20年の現役引退後、英国留学などを経て24年に日本男子監督に就任。28(16)年リオデジャネイロ五輪は全階級でメダル獲得へ導き、令和3(21)年東京五輪は2大会連続で指揮を執る。

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