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【編集者のおすすめ】『明治零年 サムライたちの天命』加納則章著 「武士とは何か」問い続け

『明治零年 サムライたちの天命』加納則章著
『明治零年 サムライたちの天命』加納則章著

 慶応4年3月14日、江戸開城を果たした西郷吉之助は、蒸気船で急ぎ西上し、奥羽越列藩同盟平定のため北陸道への官軍派遣を企図していたが、最大の大名・前田家の「独立割拠」の噂が入る。

 北陸道鎮撫(ちんぶ)総督の参謀・山県狂介は徹底的な武力鎮圧の意向だったが、西郷に「極力非戦」を命じられ、桂小五郎の指示で老剣豪・斎藤弥九郎を伴うことに。金沢入りした山県は、前田家当主・慶寧(よしやす)に新政府への恭順と、正式部隊の派遣要請を強引に迫った。しかし慶寧は言を左右にして肯(がえ)んじない。実は慶寧は勤皇の志厚き大名だったのだ。

 彼が皇宮警護役だった際、禁門の変に巻き込まれた。しかし尊皇攘夷の同士・長州藩への攻撃をためらい、京から離脱。これが幕府からとがめられ、多くの部下が慶寧の罪をかぶって刑に処せられる過去があったのだ。

 しかも慶寧には、「倒幕の密勅」は「偽勅」という情報も届いていた。あっさりと「攘夷」を捨て、偽勅まで用いるような薩長主導の新政府は頼みにならない。そう断じた慶寧は、加賀・越中・能登の三国で「独立割拠」し、そこで大義に殉ずる武士の生を貫こうとしていた。しかし!

 テンポ良い会話と大胆な場面展開、提示され続ける謎。エンターテインメント性あふれる小説ですが、繰り返される「武士とは何か?」の問い掛けは、日本人がなくしかけている大切なものへのいつくしみなのかもしれません。

 作家・加納則章のデビューに立ち会ってみてください。(エイチアンドアイ・1800円+税)

 エイチアンドアイHI-Story編集部編集長・熊谷弘之

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