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【本ナビ+1】作家・北康利 対コロナ起死回生の秘策 『ゲコノミクス』藤野英人著

作家の北康利さん
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 常識を疑うことは新市場開拓の第一歩だ。起業家のメンターでもある著者が、身をもって魅力ある新市場を示し、一つのムーブメントを起こそうとしている。

 着目したのは、今や成人の半分以上は、お酒を飲めないか飲まないかだという事実。

 「ゲコでも楽しめる飲み物を置いてくれたら、多少高くてもお金を払うのに」

 著者が愛しさを込めて“ゲコノミスト”と呼ぶ彼らの声は、“ゲコ=客単価低い”という常識の壁に阻まれ、年間3千億円超とも試算される大きなビジネス機会を失ってきた。ゲコノミストについて考えることは、ダイバーシティー(多様性)やSDGs(持続可能な開発目標)の文脈からも避けて通れないと著者はいう。

 強いて飲ませるのは論外だが、「人生をだいぶ損してるね」「飲む練習をすればいいのに」などの言葉は人を傷つける。そして若者の酒離れの現実を考えれば、「酒を飲まないと腹を割った話ができない」という考え方は、明らかに時代遅れになりつつある。

『ゲコノミクス』藤野英人著
『ゲコノミクス』藤野英人著
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 ゲコノミストの中に“ノミスト”の気持ちが分からない者がいるのは仕方ないが、ノミストがゲコノミストに寄り添うことはできるはず。しかし、そんな心優しいノミストは少ない。そこで著者は、社会に変革を促そうと本書で蜂起を呼びかけたのだ。

 準備は周到に行われてきた。フェイスブック上で「ゲコノミスト(お酒を飲まない生き方を楽しむ会)」というグループを立ち上げると、メンバーは3500人に達し、「よくぞ言ってくれた」という感謝の声に溢(あふ)れている。

 コロナに苦しんでいる飲食店にとっての福音というにとどまらない。著者が本書で提起したことこそ、アフターコロナ時代を生き抜く万人向けのヒントなのだ。(日本経済新聞出版社・1500円+税)

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