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コロナ感染疑いで救急搬送に9時間も 医師「たらい回しは患者にとって恐怖」

PCR検査を受けるために搬送される救急車内。救急隊員は防護服を着用し、車内はビニールなどがはられていた(男性提供)
PCR検査を受けるために搬送される救急車内。救急隊員は防護服を着用し、車内はビニールなどがはられていた(男性提供)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、感染疑いの患者の入院先が決まらない「搬送困難」が4月に東京都内で急増していたことが判明した。都内では80代男性の入院先が見つからず、初診から約9時間後に自宅から40キロ以上離れた病院に搬送される事案も発生。医療関係者は「患者にとっては非常に恐怖」と話した。

 「明らかに様子がおかしい」。4月10日午前10時ごろ、在宅診療で80代夫婦の自宅を訪ねた蔵前協立診療所(台東区)の原田文植(ふみうえ)医師は、すぐに夫の異変に気づいた。普段はテレビを見たり、認知症の妻を介助したりしているが、この日は力なく横たわっていた。

 「どうしたん」。原田医師が心配そうに問いかけると、夫は「力が入らない。食べれない」と訴えた。発熱はないものの脱水症状があり、新型コロナの感染が脳裏をよぎったという。

 「旦那さんが入院したら、奥さんをどこかの施設に預けないといけない」。夫の症状は当初それほど重くなく、大きな病院で治療を受けさせるか迷ったが、容体が急変する危険性を考慮。以前、夫が手術を受けた文京区内の病院に入院を申し入れた。

 約2時間後、ケアマネジャーの女性が付き添う形で手配した救急車で病院に到着した。「新型コロナの感染疑いがある」としてすぐに夫のCT検査を実施。検査結果が判明すると、病院側は突然、「入らないで」とケアマネジャーの同席を拒絶した。新型コロナ感染者に特徴的な肺の影が見つかったためで、気が動転したケアマネジャーは「私はどうすればよいの? もうパニックで、もうやだ」と泣きながら電話で報告してきたという。

 その後、その病院の医師からは「うちでは診られない」と入院を拒否され、救急隊員らによる新たな入院先探しが始まった。連絡を取っていた蔵前協立診療所の看護師が午後6時半の時点で記していたメモからは苦しい状況が浮かぶ。

 《未だに転院先が決まらない》《急激に状態が悪化している》

 結局、男性が入院できたのは都心から離れた八王子市内の病院で、診療所の原田医師が自宅を訪れてから約9時間が経過していたという。幸い快方に向かっているが、原田医師は「たらい回しはやむを得ない部分もあるが、患者にすれば非常な恐怖だ」と訴える。

 蔵前協立診療所では、感染者と他の患者らとの接触を防ぐゾーニング(区分け)を徹底し発熱患者を診察。患者の中には多くの医療機関に診察を断られ「やっと診てもらえた」と涙を流す人も。原田医師は「普段の生活や背景を知らず救急搬送された肺炎患者を診る中規模病院は負担が大きくなっている。患者をよく知る町医者がまず診察する状況にしないといけない」と話した。

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