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楽しいカリフォルニアワイン ~未来につなぐワイン造り~

 カリフォルニアワインが多彩な楽しみを生み出している。さわやかなソーヴィニヨン・ブランや食事に合うピノ・ノワール、軽やかなロゼなど、味わいは個性豊か。ブドウ畑が連なる景観美をはじめ、マイクロ・クライメート(微小気象)と呼ばれる変化に富んだ気候や多国籍な料理とのペアリング…と、発見や驚き、楽しみの世界が広がっていく。そして、ワインを1杯から注文できるスタイル“バイザグラス”が定着し、お気に入りの味わいを探す冒険の旅が待っている。「風土」「食」「環境保全」「流行」をテーマに、カリフォルニアワインの魅力を4回にわたって紹介する。

 ※お知らせ:カリフォルニアワイン協会(本部・米サンフランシスコ)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月1日から日本全国のレストランなどで開催していた『カリフォルニア・バイザグラス・プロモーション 2020』を中止しました。同協会は、カリフォルニアワインが買えるオンラインショップリストを開設すると同時に、バイザグラス・プロモーション特設サイトでもデリバリー、テイクアウト、ワイン販売を行っている参加店を紹介していますので、是非ご覧ください。

『おうちで楽しむカリフォルニアワイン オンラインワインショップリスト』は、こちら

『カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション 2020』(中止)の詳細は、こちら

【第4回】楽しむ×多様性:注目のワインを味わう

■歴史舞台に登場した最高の泡

ナパ・ヴァレー最古のカーブ。手作業で掘り進められたカーブは約3000平方メートル。約270万本のスパークリングワインが眠る
ナパ・ヴァレー最古のカーブ。手作業で掘り進められたカーブは約3000平方メートル。約270万本のスパークリングワインが眠る
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 「米国のスパークリングワインは、かつては『ただの泡の入った飲み物』と考えられていた。周囲には無謀といわれるなか、フランスのシャンパンだけではなく、世界に通じるスパークリングワインを目指してきた」

 そう胸を張るのはナパ・ヴァレーにあるシュラムスバーグ、ヒュー・デイヴィーズさん(写真右上)。ワイナリーは約160年前に設立され、ヒューさんの両親が1965年に所有者となった。

 当時のナパ・ヴァレーには、数少ないワイナリーしかなかった。畑の管理やブドウの栽培、醸造に至るまで試行錯誤を重ね、伝統的なシャンパーニュ方式を取り入れた。今では、米国発の最高級スパークリングワインとして、世界中のファンを魅了している。

ワイン造りはすべて手作業で行われる(左)。ドイツからの移民だった初代のジェイコブ・シュラムさんは1862年にブドウ栽培を始めた。テイスティングルームには今も紋章が残っている
ワイン造りはすべて手作業で行われる(左)。ドイツからの移民だった初代のジェイコブ・シュラムさんは1862年にブドウ栽培を始めた。テイスティングルームには今も紋章が残っている
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 1965年当初から生産しているのは、シャルドネ100%の『ブラン・ド・ブラン ノース・コースト』。青リンゴとかんきつ類の香りが立ちのぼり、酵母のような酸味も。果実の良さを味わえ、余韻も長い。食前酒としてはもちろん、生ガキや鶏肉料理などともよく合う。ヒューさんは「可能性という言葉がぴったり」と表現する。

 この可能性を秘めた1本は、実は歴史舞台にも登場している。

 1972年2月、ニクソン米大統領は中国・北京を訪問し、第二次世界大戦後の対立関係から和解へと転じる米中共同宣言を発表した。周恩来首相との会談時にふるまわれたのが、シュラムスバーグのブラン・ド・ブラン。歴史の一幕もまた、味わいの一つになっている。

 ヒューさんは「先代のビジョン、私たちの見据える未来。ワイナリーや社会の変化。伝統や挑戦…。いろいろな転機は訪れるが、丁寧な手作業によるワイン造りは変わらない」という。

最高のスパークリングハウスの道を切りひらいたヒューさんの両親、ジャックさん(右)とジェイミーさん
最高のスパークリングハウスの道を切りひらいたヒューさんの両親、ジャックさん(右)とジェイミーさん
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■完全辛口。今を表現するロゼ

 ロゼと聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。カリフォルニアワイン協会などによると、米国では近年、ロゼワインが注目されているという。今のまれているロゼは、軽やかで、繊細で、ドライ。果実そのものの魅力を引き出すワイン造りの潮流とともに誕生した新しい魅力をまとったロゼともいえるだろう。

 単一品種による多彩なワインを生産販売するキャノンボールワインカンパニーの創業者の一人、ヨアブ・ギラットさんは2014年、新レーベルのエンジェルズ&カウボーイズを設立した。ヨアブさんは、「カリフォルニアならではワインの流行を追って、独自のブレンドなどに挑戦する試み。そのひとつがロゼ」という。

 『エンジェルズ&カウボーイズ ロゼ』は、ソノマ郡でも冷涼なロス・カーネロスなどの畑から収穫したグルナッシュをベースにブレンドされている。色の抽出を抑え、オレンジに近いピンク色。酸味やミネラル感をいかした辛口のロゼに仕上げている。

『エンジェルズ&カウボーイズ ロゼ 2018』は、エスニック料理やサラダ、すしにも合う(左)。バレットの醸造技術を駆使したワイン。一番左は『バレット ブリュット ロゼ 2014』、となりが『バレット ロゼ オブ ピノ・ノワール』
『エンジェルズ&カウボーイズ ロゼ 2018』は、エスニック料理やサラダ、すしにも合う(左)。バレットの醸造技術を駆使したワイン。一番左は『バレット ブリュット ロゼ 2014』、となりが『バレット ロゼ オブ ピノ・ノワール』
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 ソノマのワイナリー、バレット・ヴィンヤーズは2007年にロゼ・プロジェクトを立ち上げ、ロゼのあるべき姿を模索した。テーマは“バランスとエレガンス”。2年をかけて、透明感あふれるスタイルを構築した。

 『バレット ロゼ オブ ピノ・ノワール』に使用されるピノ・ノワールは、ロゼ専用の畑で栽培され、酸味をいかすため早い時期に収穫する。ステンレスタンクで低温発酵させ、辛口に仕上げていく。

 ワイナリーの醸造家、アンソニー・ベックマンさんは、「1950年代以降にもロゼは流行したが、当時のロゼは、甘くてビッグ(どっしりとした)な印象。バレットのロゼは、アルコール度数は低めにし、果物の酸味を楽しめる。欧州のスタイルを思わせるエレガントなロゼが好まれている」と指摘する。

■土地の個性を詰め込んで

天然石のガーネットを思わせる深い色合い。『セゲシオ ロックパイル ジンファンデル 2017』。畑には岩が多く、急勾配で水はけがいい。小さなブドウの粒がぎゅっと凝縮していく
天然石のガーネットを思わせる深い色合い。『セゲシオ ロックパイル ジンファンデル 2017』。畑には岩が多く、急勾配で水はけがいい。小さなブドウの粒がぎゅっと凝縮していく
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 カリフォルニアらしいワインといえば、ジンファンデルを思い浮かべる人も多いだろう。ソノマ郡アレキサンダー・ヴァレーにあるワイナリー、セゲシオ・ファミリー・ヴィンヤーズでは1895年の創業以来、ジンファンデル一筋。輸出担当のアビゲール・スミスさんは、「土地とワインの関係は重要。この地で100年造り続けてきたジンファンデルを、この先100年も造り続ける」と笑う。

 ジンファンデルは、イタリアのプリミティーヴォ種と同じDNA構造を持つ。ノース・コーストの中でも、温暖な地区で栽培されている。『セゲシオ ロックパイル ジンファンデル』は、火山性土壌の畑で育てられたブドウを使用。力強いタンニンと濃厚な風味が多くのファンを魅了している。

最高の畑から誕生した『ゴースト・ブロック』などが味わえるテイスティングルーム(左)。周辺にはオーパスワンやハーラン・エステイトなど世界に名をとどろかせるワイナリーが立ち並ぶ
最高の畑から誕生した『ゴースト・ブロック』などが味わえるテイスティングルーム(左)。周辺にはオーパスワンやハーラン・エステイトなど世界に名をとどろかせるワイナリーが立ち並ぶ
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 銘醸地ナパ・ヴァレーの中でも、さらに一等地と呼ばれるオークヴィルなどに畑を所有するナパ・ワイン・カンパニー。ブレンドや瓶詰、打栓といったパッケージングまで、依頼者の必要に応じて、オーダーメードのワイン生産を請け負う受託醸造所(カスタム・クラッシュ)としてのビジネスも展開している。

 現在は20以上のワイナリーを受け入れており、多種多様なワイン造りのアイデアが寄せられる“情報集積地”としての機能にも注目が集まっている。

 一方で、ナパ・ワイン・カンパニーの畑からは、ゴースト・ブロック、エリザベス・ローズ、オークヴィル・ワイナリーと3つのファミリー(系列)ブランドが展開されている。

 ゴースト・ブロックのこだわりは単一畑。1区画のブドウだけを使用し、土地の個性を味わいに反映させる。『ゴースト・ブロック カベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル』は、華やかな花の香りにブラックベリーやココアのニュアンスが現れる。ナパの代名詞ともいわれるカベルネ・ソーヴィニヨンの芳醇(ほうじゅん)な味わいを堪能できる。

ナパ・ワイン・カンパニー5代目のモーガン・ホクシーさん(左)。オークヴィル・ワイナリーの醸造家、渡辺晴美・リンさん。おいしさだけではなく、手にとってもらえる価格やアルコール度数など、さまざまな視点でワインを考えている
ナパ・ワイン・カンパニー5代目のモーガン・ホクシーさん(左)。オークヴィル・ワイナリーの醸造家、渡辺晴美・リンさん。おいしさだけではなく、手にとってもらえる価格やアルコール度数など、さまざまな視点でワインを考えている
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 オークヴィル・ワイナリーは、日本出身の渡辺晴美・リンさんが醸造家として活躍している。微生物学を学び、カリフォルニアで長年にわたりワイン造りに携わってきた。ゴースト・ブロック同様、こだわるのは土地の魅力。テイスティングルームに隣接するペリッサという優良な畑から、繊細さを漂わせるカベルネ・ソーヴィニヨンやマルベックを、より手ごろな価格で提供しようとしている。

 渡辺さんは、「カリフォルニアには多様なワインがあり、『これ!』という1本をすすめるのは難しい。スタイルを守り続けるワイン、軽さといった人々の好みの傾向を反映したワイン、今のロゼに代表される流行…。私たちは、自由で斬新(ざんしん)な発想を具現化していくインキュベーター(ふ化器)のようなもの。おいしいと思えるワインに共通するのはバランス。口当たりや生産者の哲学、予算、ワインをのむ環境…。バランスの視点もいろいろ。だからこそ、『次はあのワイナリーのワインを試してみよう』という風に、楽しみを広げてみてほしい」と話している。

カリフォルニアワイン協会 オナ―・コンフォート国際部長からメッセ―ジ

カリフォルニアワインを楽しみにしてくださっている日本のみなさまへ

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 各地のブドウ畑に春が到来したころ、カリフォルニアは新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるため、全米他州に先駆けて外出禁止令を発令しました。

 カリフォルニアワイン協会をはじめ、ワインに関わる団体や人々は、家族や従業員、地域社会の健康と安全を守ることに力を注ぐことになりました。同時に、カリフォルニア州は早い段階で、ワイナリーは〝必要不可欠な産業〟と位置づけました。このため、テイスティングルームは閉鎖されていても、ブドウ畑の管理、ワイン生産や輸出への動きは継続することができています。

 ワイナリーでは、お客さまとワインを共有する新しい方法の模索が始まりました。バーチャル・テイスティングなど、インターネットを駆使した試みは、味わいだけではなく、ワイン造りに携わる人々についても知ってもらう良い機会になります。

 カリフォルニアワイン協会でも、いくつかのインターネットを活用したプログラムに取り組んでいますが、オンラインライブ配信でワインの裏側を紹介する『ビハインド・ザ・ワインズ』では、注目の醸造家や生産者のインタビューなどをお届けしていきます。

 今、畑では木々が葉を広げ、つるには小さなブドウの房が形成されはじめています。〝カリフォルニアワインカントリー〟の拠点ともいえる各ワイナリーのテイスティングルームでは、安全を担保できる形でお客さまを再び迎えられるように、再開の準備を進めています。

 サンタバーバラからナパ・ヴァレー、ソノマカウンティからパソロブレスまで…。1杯のワインを通して、私たちが誇る美しい景色や海洋性気候といった風土を、日本のみなさまと共有できる日を楽しみにしています。

 それまで、互いに手を差しのべあい、安全にお過ごしください。近い将来、この困難を乗り越えることができると信じましょう。

※取材は今年1、2月時点。メッセージは4月27日時点のものです。

【おうちで楽しむカリフォルニアワイン オンラインワインショップリスト】

 世界的に高い評価を得ているカリフォルニアワイン。米国はイタリアやフランス、スペインに続いて世界第4位のワイン生産量を誇り、国内の約8割がカリフォルニア州から産出されている。バイザグラスはワインを1杯から注文でき、米国では気軽にワインを楽しめるスタイルとして定着している。

 今年元日に発効された日米貿易協定によって、米国産ワインの関税は段階的に引き下げられ、2025年には完全撤廃が予定されている。米国から日本に輸入されるワインの95%以上がカリフォルニア産。関税撤廃による小売価格の値下げなども見込まれている。消費者にとっては、多様で高品質なカリフォルニアワインを楽しむ機会が広がるとして注目されている。

 リッチな味わいからエレガントなワインまで、スタイルは実に多彩。自宅で過ごす時間が増える今、ゆっくりとお気に入りの1本を見つけてみませんか。

 カリフォルニアワインを選ぶなら、オンラインワインショップリストへ。

提供:カリフォルニアワイン協会

[お願い]ストップ! 20歳未満飲酒・飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。飲みすぎ注意、お酒は楽しく適量を。飲んだあとの空き缶・空き瓶はリサイクル

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