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【いきもの語り】鷹匠の佐々木薫さん「互いに信頼し合えている」

「鷹匠茶屋」を経営する佐々木薫さんと、ハリスホークの「ネテル」=10日、三鷹市下連雀(吉沢智美撮影)
「鷹匠茶屋」を経営する佐々木薫さんと、ハリスホークの「ネテル」=10日、三鷹市下連雀(吉沢智美撮影)

 タカやハヤブサなどを自在に操る「鷹匠(たかしょう)」の佐々木薫さん(60)の左腕に、雌のハリスホーク(タカの一種)がとまっていた。東京都三鷹市下連雀の「鷹匠茶屋」。猛禽類ファンの間では話題の店だ。

 記者が訪ねたのは、新型コロナウイルスの感染防止のため休業する前の今月10日。広さ約25平方メートルの店内の奥には猛禽類の係留部屋があり、8羽が羽を休めていた。部屋から連れ出されたハリスホークは一瞬大きく躍動しようとしたが、佐々木さんがなだめるとその翼は収まり、自然と佐々木さんを見やる。

 彼女の名は「ネテル」。名前の由来は「ひなの中で一番よく寝てたから」。育ての親は笑った。

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 ひなから育てたのは8羽のうち5羽。1年かけて体を作り、その後、訓練に入る。タカを手に留めた状態で外を歩き回る訓練では、井の頭公園や駅周辺を終日連れて歩くこともある。

 「1日中一緒にいると、言葉とかしぐさとか関係なく、お互いに信頼し合えていることが分かるんです」

 猛禽類と出合ったのは小学3年の頃だった。偶然ペットショップで見かけたハヤブサに魅入られ、「もう自分の血になっていて、魅力とかうまく語ることができない」とほほえむ。

 ハヤブサを飼い、鷹匠の弟子入りを希望したのは中学2年。当時は京都に住んでいたが、師匠がいる愛知まで週に1度、新幹線で片道2時間かけて3年ほど通った。鷹匠の資格を取ったのは高校時代だった。

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 飼い慣らしたタカを野に放ち、野鳥などを捕まえる「タカ狩り」は世界で古い歴史があり、世界無形文化遺産にも登録されている。日本では仁徳天皇の時代に行われたとする記述が日本書紀にあり、江戸時代には年中行事に取り入れられ、将軍自らがタカ狩りを行ったとされている。

 「地名に鷹の字が使われている場所の多くはタカ狩りや鷹匠が関わっている」と佐々木さん。その三鷹に「鷹匠茶屋」を開いたのは平成23年だった。長年、建物清掃業を営みながら鳥獣保護員を務めていたが「お茶を飲みながらタカについて学習して集まれる場所を作りたかった」。コーヒーを手に猛禽類を眺め、語り合える店には、老若男女問わず多くの人が訪れる。

 鷹匠として害鳥駆除や撮影、イベントなどを行っている。自宅などで他に飼育している動物は30種類に及ぶ。「他の動物がどう動き、何を食べているのかを分かっていないと、狩りが成立しない」という。

 「それでも好きでやっているから、大変なことなんてない」と、店内の猛禽類たちを見やり、目を細めた。(吉沢智美)

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