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【話の肖像画】台湾元総統・陳水扁(69)(32)劣悪な独房からの闘い

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友人の画家が土城看守所の独房の様子を再現してくれた
友人の画家が土城看守所の独房の様子を再現してくれた

 《2008年11月、自身は逮捕され、台北の土城看守所に収監された。くしくも22年前、言論弾圧事件に巻き込まれたときと同じ場所だった》

 収監のとき、すべての指紋を取り、全身を裸にして麻薬や凶器を隠していないかを調べられた。何氏というベテラン職員がいた。22年前に投獄されたときも私の担当だった人だ。立法委員、台北市長、総統を経験して再び戻ってきた私の顔を見て、お互いに隔世の感を禁じ得なかった。独房の環境は以前と比べて著しく悪化していた。わずか4平方メートル。ベッドも机も椅子もないが、便器があった。横になっても足が伸ばせず、24時間、照明に照らされる状態だった。

 馬英九政権による私への嫌がらせだった。「以死明志(死をもって志を明らかにする)」という言葉が頭に浮かんだ。当日夜から食事を拒否して、ハンガーストライキを始めたが、5日目に意識がもうろうとなり、病院に運ばれた。病室で点滴を受けながら、「私が死ねば馬政権と北京の思う壺になる。生きて闘おう」と思い直した。

 《家族に筆記用具を送ってもらい、思いを書き残すことにした。闘いの第一歩だった》

 床に原稿用紙を置き、うつぶせで書く。すぐに腰が痛くなり目も回るが、少し休憩してまた書き始める。当時、60歳近い私には楽なことではなかったが、台湾への思いを書き始めるとペンが止まらなくなった。『台湾の十字架』という本を1カ月で書き上げた。

 その後、面会に来たメディア関係者からコラムの執筆依頼を受けた。少しだが収入を得ることもできた。水を買ったり、液晶テレビの電池を買ったりした。精神的な安定を保つことが大変だったので、土日はパズルの数独を解き、本を読むなどリラックスの時間を持つように心がけた。マイケル・ジャクソンの自伝や、趙紫陽の回顧録は面白かった。山岡荘八の『徳川家康』を全巻読破した。我慢することの大切さを学び、自分の政治人生を振り返って反省したりした。土城看守所で過ごした日々は私にとって貴重な体験となった。出獄後、画家の友人にお願いして、当時の様子を絵画に再現してもらった。

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