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軽症者死亡が浮き彫りにした病床不足 埼玉・白岡のケース

新型コロナウイルスに感染し自宅待機していた男性が死亡したことをめぐり、記者団の取材に応じる大野元裕知事=23日午前、県庁(竹之内秀介撮影)
新型コロナウイルスに感染し自宅待機していた男性が死亡したことをめぐり、記者団の取材に応じる大野元裕知事=23日午前、県庁(竹之内秀介撮影)

 新型コロナウイルスに感染し軽症者として自宅待機中だった埼玉県白岡市の50代男性が死亡し、病床不足の深刻な現状が浮き彫りになった。同県は10万人当たりの一般病院の病床数が全国で最も少なく、22日時点で349人が入院できずに自宅待機を余儀なくされている。県は5月6日までに病床数を倍増させる方針を示しているが、計画通りに進むかは見通せない。

 死亡した男性は4月11日に発熱の症状を訴え、16日に陽性と判定された。症状が安定しているため自宅療養中だったが、20日夜に具合が悪くなり、入院することが決まっていた。容体が急変し死亡したのは入院予定日の21日だった。

 23日に記者団の取材に応じた大野元裕知事は「発症して1週間を過ぎた方が急変して悪くなるケースはあまりないと聞いていたので、重症患者(の入院)を優先させる方針を採っていた」と説明した。

 県は当初、「感染者は原則入院」という対処方針を掲げていたが、20日に方針を転換し、基礎疾患がない軽症者や無症状者については自宅やホテルで療養させることを決めた。県内では感染者729人(22日時点)に対し病床は約300しか確保できておらず、全員を入院させるのは困難と判断したためだ。大野知事は軽症者の扱いについて「自宅療養を進める」と述べ、現状の方針を改めない考えを示した。

 自宅療養の方針の根拠となっているのは「軽症者と無症状者は発症して8日以降は重症化する可能性が低い」という判断だ。実際、死亡した男性の場合は病状が悪化したのは発症から9日後だった。入院が予定されていた日は発症から10日が経過しており、より早く入院が実現していれば対処できていた可能性も否定できない。

 自宅待機者に対する健康観察などのあり方を問題視する声もある。白岡市選出の岡重夫県議は「県と市が自宅待機者の情報を共有できていないと聞いた。市が自宅待機者をフォローする動きも必要だ」と指摘する。

 感染のさらなる拡大に備え、県は5月6日までに病床数を600に増やす方針だが、実現には黄信号がともっている。県幹部は「受け入れてくれる病院が少なく苦労している」と語り、調整の難航ぶりを示唆する。

 大野知事は、専門家が示した試算として県内の感染者数が5月の大型連休明けに1千人に達するとの見通しを明らかにしている。病床数の少なさというハンディを抱える中、試算通りに感染者数が推移すれば、医療崩壊の危機も現実味を帯びる。

(黄金崎元、竹之内秀介)

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