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【話の肖像画】台湾元総統・陳水扁(69)(31)「これは政治迫害だ」

 私が逮捕された数年後、中国共産党内の権力闘争で、大幹部の周永康氏が失脚し、その家族、元部下ら数百人が連座で粛清されたというニュースを見て、「私のときと同じだ。これが中国式のやり方なんだ」と思った。再起不能になるまで相手をとことんたたきのめすことは、彼らの常識だ。

 《後に聞いた話だが、自身が逮捕される4カ月前の08年7月末、中国の胡錦濤国家主席は共産党の政治局会議で、「陳水扁の逮捕は台湾独立勢力への痛烈な一撃となる」と発言したという。自身が逮捕されることを、対岸の中国は事前に知っていたようだ》

 私が総統になったとき、「歴史の真相を究明するが、政敵個人への報復をしない」と心の中に決めていた。国民党政権の厳しい弾圧を受けた当事者の私たちが、相手を許すことで台湾の民主化をより早く完成させることが目的だった。当時、前総統の李登輝氏には軍艦購買疑惑、台湾省長などを歴任した宋楚瑜(そう・そゆ)氏には不正蓄財疑惑がメディアに報じられたが、私は徹底捜査を指示しなかった。

 しかし、馬政権が発足した途端に、北京と連携して真っ先に私を清算した。中国人の辞書には「政権交代」という言葉はなく、「易姓革命」との発想しかないのだ。権力を握ったら、まずは前政権の財産を没収し、一族を殺し絶やす。数千年の中国の皇帝史を読み返せば、そこには血と涙しかない。

 彼らは台湾独立運動の旗振り役の、私の名誉と影響力を徹底的に葬ることを通じて、中台統一を大きく前進させようとしたとみられる。そういう意味で、私の投獄は台湾の自由と独立のために、背負わなければならない十字架だと考えている。(聞き手 矢板明夫)

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