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女性タレント写真集 ヒット続出の謎 カギは女性目線、親近感、あこがれ

ヒットが続々と生まれている女性アイドルやタレントの写真集(松井英幸撮影)
ヒットが続々と生まれている女性アイドルやタレントの写真集(松井英幸撮影)
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 紙の本の販売が落ち込む出版不況下で、女性タレントの写真集が売れている。人気アイドルグループ・乃木坂46がベストセラーリストを席巻し、フリーアナウンサー、田中みな実さん(33)の初の写真集も60万部を突破した。ネット上で手軽にたくさんの画像に触れられる時代になぜ? 浮かんできたキーワードは女性目線、そして親近感とあこがれだ。(文化部 海老沢類)

1万部でヒット

 「新型コロナウイルスの感染拡大で大がかりな発売記念イベントを開けない状況なのに、反響がすごく大きい。パワーを感じる」

 乃木坂46のメンバー、与田祐希さん(19)の写真集『無口な時間』の売れ行きに、出版元である光文社「bis」編集長の青木宏行さんは驚く。3月10日発売で、はや3刷20万部。1万部に届けばヒット、といわれる市場では異例だ。

 乃木坂46でのヒットの先駆けは、累計50万部に達している白石麻衣さん(27)の『パスポート』(29年刊、講談社)。乃木坂46の清楚(せいそ)なイメージを脱する下着や水着姿の写真が話題となり、オリコンが集計する20年以降の写真集の「女性ソロ作品」では年間最多売り上げ(当時)を記録した。生田絵梨花さん(23)らほかのメンバーも続々ヒットを飛ばす。

 売れているのはアイドルグループだけではない。フリーアナウンサー、田中みな実さんの『Sincerely yours…(シンシアリー ユアーズ)』(宝島社)は昨年12月の発売後1カ月半で60万部に。今年2月に出たモデルでタレントの藤田ニコルさん(22)の『好きになるよ?』(講談社)も増刷を重ね、6万部に達した。

自分の“お手本”

 平成以降の写真集市場にはいくつか波があった。バブル期には、篠山紀信さん撮影で150万部を超えた宮沢りえさんの『Santa Fe』(3年)を核にしたヘアヌード・ブームが起こった。島田陽子さんや川島なお美さんら有名女優のヌード写真集も男性読者の目をひき、軒並み50万部に達した。だが読者の飽きも早く、7年にはヘアヌード写真集の新刊点数は最盛期の約10分の1に激減。売れ筋はSPEEDやモーニング娘。といったアイドルグループへと移り、そこからメンバーのソロ写真集も出版されるようになった。

 出版科学研究所の久保雅暖研究員は最近のヒットの共通項に、女性目線を挙げる。「大物写真家を起用しない本も多く、価格も1千~2千円台で手を伸ばしやすい。ファッションやメーク、生活スタイルの“お手本”とするために購入する女性が多いはずです」

 実際、講談社によると、過激な露出が話題になった藤田さんの『好きになるよ?』も、ふたを開けてみたら女性読者が6割を占めていたという。

 乃木坂46の与田さんの『無口の時間』も女性読者を意識した編集になっている。中心になって企画を練ったのは与田さんがレギュラーモデルを務めるファッション誌「bis」の女性編集部員。イタリアのシチリア島の雄大な自然とファッションの中心地・ミラノの歴史的な街並みを背景にした美しい非日常が収められている。一方で、食べ歩きをしたりショッピングしたりする与田さんの飾らない姿も多く、すっぴん風のカットも入れた。コンセプトは「インスタ映えする女子のひとり旅」だ。

 光文社の青木さんは「こんな衣装であんな場所へ行きたい-という女子のあこがれを体現したロードムービー風。セクシーな一面だけではなく、かわいい素の表情も収めたことで男女双方のファンに届いた。好きな子の写真は大きな紙の写真で持っていたいという気持ちも強いのでは」と話す。

今やお守り?!

 「女性アイドルのライブ会場で声援を送る女性も以前より増えている。親近感+あこがれ-この2つのバランスが取れていることが女性人気をつかむ条件。高根の花といえる局アナ出身だけれど、美への努力を惜しまない自然体の素顔も見せてブレークした田中みな実さんは象徴的です」と話すのは『平成アイドル水滸伝』(双葉社)などの著書がある社会学者、太田省一さんだ。

 山口百恵さんら昭和のアイドルは高みにいるカリスマだった。それが平成に入るとモーニング娘。やAKB48など身近な存在に変わった。「苦しみや悩みを共有できるアイドルを応援する流れも一段落し、今はまた自分たちと違う、より美的なもの、あこがれを求める機運がある」と太田さんはみる。

 「スマホで自撮りした画像をアプリで簡単に加工できる時代。自分があこがれる『美』が形になったのが紙の写真集で、部屋に置いてあこがれを再確認していく-。デジタル時代に、写真集はより特別感のある“お守り”のような存在になっているのかもしれない」

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