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【主張】高温ガス炉合格 中国に先手を取られるな

高温ガス炉「高温工学試験研究炉」=2018年4月、茨城県大洗町
高温ガス炉「高温工学試験研究炉」=2018年4月、茨城県大洗町

 原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査を受けている日本原子力研究開発機構の「高温工学試験研究炉(HTTR)」(茨城県大洗町)の審査書案が同委によって取りまとめられた。今後の手続きが残るものの審査における事実上の合格を意味する前進である。

 日本のみならず世界のエネルギー問題解決や原子力発電の安全性向上に資するために、一日も早い再稼働を期待したい。

 HTTRは「高温ガス炉」と呼ばれるタイプの原子炉だ。燃料がウランであることは一般の発電用原子炉と同じだが、それ以外の点は全く違う。

 炉心の構造材に黒鉛ブロックを使い、炉心で発生した高温はヘリウムガスで取り出すなど、従来の軽水炉とは、全く異なる次世代原発である。

 最大の特徴は、極めて高い安全性にある。全電源喪失や冷却材配管の破断が起きても炉心溶融事故は原理上、起こり得ない。運転に水を使わないので、砂漠にも海から遠い内陸部にも建設できる。

 いま一つの特徴は、軽水炉より3倍も高い950度の高温を取り出せることにある。この高温でガスタービンを回して発電しながらクリーン燃料の水素を製造することもできるのだ。小型炉なので消費地の近くに配置する分散型電源にも適している。

 これほどメリットの多い原子炉だが、コストの高さが難だった。それが福島事故を境に一般の原発の安全対策費が増したことで、高温ガス炉に競争力がついたのだ。日本の高温ガス炉技術は世界の最先端の位置にある。

 だが、価格競争力を獲得した一方、福島事故で規制委が置かれ、その安全審査が完了するまでHTTRも運転停止中だ。

 その間に、中国が高温ガス炉の開発で猛烈な追い上げをかけてきた。同じ高温ガス炉でも方式に違いがあって、日本方式の方が高温能力も優れているのだが、実用化で先手を取られると、その後の世界展開に制約を受けやすい。

 原子力機構は高温ガス炉を求めているポーランドに協力して同国で実用化を進める方針だが、そのためにもHTTRの早期再稼働が望まれる。高温ガス炉は、日本のエネルギー確保策の灯だ。規制委にその認識がなければ、国の将来は暗い。

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