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【本ナビ+1】「オリジナリティー」描き続け 俳優・寺田農

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 □『いのちを刻む鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』木下晋著、城島徹編著(藤原書店・2700円+税)

 <変幻自在の表情を見せる雪景色のように、モノトーンの世界にも豊かな色彩がある。黒の中に光が見え、白の中に命が見える対象を捉(とら)えるのに最も魅力的な手段が鉛筆だと確信した>

 本書は鉛筆画の鬼才、木下晋(すすむ)の自伝である。1947(昭和22)年、先の大戦で焦土と化した富山市に生まれた木下は高校生だった17歳のとき、公募展初入選の報が富山新聞社会面に躍る。

 中学卒業直前に事故死するとび職の父、幼いころから兄を連れて放浪を繰り返す母、餓死した弟…。極貧生活の中で育ちながら、早くからその美術の才能を見いだした中学教師をはじめ、リレーのように多くの支持者に恵まれて、この日を迎えたのである。

 もちろん、これだけで一人前の絵描きとして生活できるわけではない。転がり込んできた母親との確執、葛藤、憎悪も深まる。だが-。

 「君は作家として最高の環境の中に生まれ育った。その母親を君は描くべきだ」

 81年、美術評論家、瀧口修造に紹介され、ニューヨークで「世界のアラカワ」と呼ばれた現代美術の巨匠・荒川修作からそんな言葉を受ける。同時に木下は思う。自分の「オリジナリティーとはなにか」「俺のやろうとしている鉛筆画はひょっとしてオリジナルアート作品にできるのではないか」と。

 母親を描きはじめてしばらくして、木下のいう「偶然の必然」から瞽女(ごぜ)、小林ハルと出会い、10Bから10Hまで22段階の濃さの鉛筆を使い分ける技法が生まれていく。

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